2022-04-26 国土技術政策総合研究所
国総研は、「単槽型硝化脱窒プロセスの ICT・AI 制御による高度処理技術」の導入ガイドライン(案)を策定し、公開しました。この新たな技術の導入により、従来の高度処理法(嫌気無酸素好気法(A2O 法)等)と同等の水質を確保しつつ、処理にかかる消費電力を削減することが期待できます。
1.背景・経緯
近年、下水道施設では老朽化や人口減少に伴う施設稼働率の低下から、設備の維持管理に必要となる経費の増加が懸念されており、効率的な改築更新の必要性が高まっています。また、閉鎖性水域等では高度処理化の推進が求められていますが、標準活性汚泥法と比較してより大きな処理設備を必要とすること、処理に伴う消費電力が増加することなどが課題となっています。
そこで国総研では、下水道革新的技術実証事業(B-DASH プロジェクト※1 )として、「単槽型硝化脱窒プロセスの ICT・AI 制御による高度処理技術実証研究」を令和元年度より実施し、その成果をガイドラインにまとめました。
※1 B-DASH プロジェクト:Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project (下水道における新技術について、国土技術政策総合研究所の委託研究として、民間企業、地方公共団体、大学等が連携して行う実規模レベルの実証研究)
2.本技術の特徴・効果
本技術は、ICT・AI を活用して反応タンクの必要風量を演算し、これに応じて送風機吐出圧力を制御することにより、短 HRT で A2O 法と同等の処理水質を確保しつつ、消費電力の削減を達成する高度処理技術です。実証の結果を踏まえて行った試算により、標準活性汚泥法から高度処理化するケースでは、A2O 法より建設費で約 17%、維持管理費で約 13%、消費電力で約 33%の削減率が得られることがわかりました(別紙参照)。
3.本ガイドライン(案)の公開
「単槽型硝化脱窒プロセスの ICT・AI 制御による高度処理技術導入ガイドライン(案)」本ガイドライン(案)は、下水道事業者が本技術の導入を検討する際に参考にできるよう、技術の概要・評価、導入検討、設計・維持管理等に関する技術的事項についてとりまとめています。本ガイドライン(案)は、国総研ホームページで公開しています。
ダウンロード先URL : http://www.nilim.go.jp/lab/ecg/bdash/bdash.htm
(問い合わせ先)
国土技術政策総合研究所 下水道研究部 下水処理研究室 重村・岩渕・中村