2026-08-27 運輸安全委員会
熊本市交通局の水前寺線で、2024年9月2日、健軍町発田崎橋行きの路面電車が新水前寺駅前停留場を出発した直後、走行中に車両中央部の旅客用中扉が開く重大インシデントが発生した。運転士は直ちにブレーキを操作して車両を停止させた。乗客約70名と運転士1名が乗車していたが、負傷者はなかった。原因は、扉のマットスイッチへの給電が停止していない状態で乗客がスイッチを踏み、走行中にもかかわらず扉が開いたこと。背景には、ドアエンジン周辺部品の変形や製作・取付誤差によってスイッチカムが偏り、扉開閉検知スイッチが閉扉状態を検知できなかったことに加え、オフタイマーの動作条件に対する事業者側の理解不足があった。つまり、機械部品の状態、電気回路、タイマー設定、保守・運用上の理解が重なって安全機構が機能しなかった事例である。
 熊本市交通局 水前寺線 新水前寺駅前停留場内(複線)で発生した重大インシデント[車両障害](令和6年9月2日発生)](https://construction.tiisys.com/wp-content/uploads/2026/08/スクリーンショット-2026-08-27-155149-500x277.png)
<関連情報>
- https://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=2031
- https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-inci/RI2026-2-1.pdf
- https://jtsb.mlit.go.jp/railway/p-pdf/RI2026-2-1-p.pdf
概要
熊本市交通局の健軍町停留場発田崎橋停留場行き1両編成、上り第8501号車の運転士は、令和6年9月2日(月)07時34分頃、水前寺線新水前寺駅前停留場を出発した直後、走行中に車両の左側中央付近にある旅客用乗車口の扉(中扉)が開扉したため、直ちにブレーキを操作し、車両を停止させた。
車両には乗客約70名及び運転士1名が乗車していたが、負傷者はいなかった。
原因
本重大インシデントは、車両の進行方向左側の中扉のマットスイッチへの給電が停止していない状況で、乗客がマットスイッチを踏んだため、車両の走行中に中扉が開いたことにより発生したものと考えられる。
マットスイッチへの給電が停止していなかったことについては、閉扉した際に離れているべきマットスイッチへの給電に関する扉開閉検知スイッチの接点及びオフタイマーの接点がつながっていたことによるものと考えられる。
扉開閉検知スイッチの接点がつながっていたことについては、ドアエンジン周辺の部品の変形や、製作・取付位置の誤差などが影響し、スイッチカムが偏っていたため、扉開閉検知スイッチが閉扉状態を検知できなかったことによるものと考えられる。
オフタイマーの接点がつながっていたことについては、熊本市交通局がオフタイマーの動作条件を十分に理解していなかったため、中扉が閉扉してからオフタイマーの接点が離れるまでの時間が熊本市交通局の想定より長く、乗客がマットスイッチを踏んだ時点ではオフタイマーの設定時間を経過していなかったことによるものと考えられる。
