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下水道管路を対象とした 総合マネジメントに関する研究

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国総研レポート2020(研究期間 : 平成 30 年度~)
国土技術政策総合研究所 下水道研究部 下水道研究室
室長(博士(工学)) 岡安 祐司
主任研究官 川島 弘靖
交流研究員 原口 翼

(キーワード) 下水道管路,マネジメントサイクル,点検調査

1.はじめに
我が国の下水道管路の総延長は約47万kmと膨大であり、管路の老朽化等に起因する道路陥没も年間約3,000件発生している。事業主体である地方公共団体の職員や予算も限られる中、管路の点検調査の一層の効率化と蓄積された維持管理情報等の活用による管路管理に係るコストの最適化により、適切な管路マネジメントサイクルを構築する必要がある。
本研究では、布設環境や管種などの条件に応じた点検調査技術の選定手法を開発することで、効率的な点検調査を推進し、管路システムの持続的な機能確保及びコスト最適化を図ることを目的としている。

2.管路閉塞の発生傾向に関する調査
点検調査計画を検討する際、管路の条件毎の道路陥没や管路閉塞等のリスクの発生傾向を考慮し、点検調査の優先順位や点検調査方法を設定することが有効である。既往の研究では、道路陥没の発生傾向について整理しているが、それ以外のリスクの発生傾向については報告が少ないため、今回は管路閉塞に着目し、地方公共団体へのアンケート調査を行い、その発生傾向を整理した。
アンケート調査は、2015~2017年度内に発生した管路の異常に伴う管路閉塞(雨天時の流下能力不足による逆流や浸水、マンホールポンプの故障による管路閉塞は調査対象外)について調査し、計111団体から約9,000件の回答を得た。
管種別の発生件数は、本管、人孔、本管と人孔の接続部の本管関連ではコンクリート管(HP管)と塩ビ管(VU管)、取付管、公共桝、取付管と公共桝の接続部の取付管関連では陶管(CP管)とVU管での発生件数が多かった。なお、発生原因は、本管関連は油脂の付着が約1,600件と最も多く、取付管関連では樹木根侵入が約2,400件と最も多かった。油脂の付着等の外的要因による管路閉塞を未然に防止する上では、定期的な点検や清掃といった維持管理の他、下水道使用者への適切な使用に関する周知も必要であると考えられる。樹木根侵入については、本管関連、取付管関連ともに、VU管よりもHP管及びCP管での発生割合が大きくなっており、要因としてはVU管に比べて継手部の隙間が大きく、管内への樹木根侵入を容易にしていることが想定されるため、管種や樹木根の伸長範囲を考慮して、点検の優先順位を検討することが有効であると考えられる。

図 管種別・発生原因別の管路閉塞の発生件数

3.今後の取組
今後は、下水道管路の異常発生傾向やリスクの発生傾向に関するこれまでの知見とともに、省力化・低コスト化に資する点検調査技術の技術開発動向も踏まえ、管路の条件に応じた点検調査の頻度や方法を検討する予定である。

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