2026-07-07 国土技術政策総合研究所
本研究は、高潮や波浪による浸水被害が増加するコンテナターミナルを対象に、施設全体の浸水脆弱性と対策効果を定量的に評価する実務的手法を提案した。気候変動の影響により浸水リスクの増大が懸念される一方、コンテナターミナルは岸壁、荷役機械、ヤード、電力設備など多様な施設で構成されているため、個別対策がターミナル全体の機能維持やレジリエンス向上にどの程度寄与するかを評価することが難しかった。そこで、ストレステストの考え方を取り入れ、施設ごとの浸水影響とサービス継続性を総合的に評価する検討フレームを構築した。さらに、モデルコンテナターミナルを対象としたケーススタディにより、浸水に対する脆弱箇所の特定や、ハード・ソフト両面の対策による機能改善効果を定量的に示した。本手法は、港湾管理者や物流事業者が科学的根拠に基づいて防災・減災対策や投資優先順位を検討し、気候変動に対応した強靱なコンテナターミナルを構築するための意思決定支援ツールとして活用が期待される。
国総研資料 第 1343 号

<関連情報>
- https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1343.htm
- https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1343pdf/ks1343.pdf
【概 要】
我が国の物流を支えるコンテナターミナルでは,高潮・波浪による浸水被害と機能停止が近年多発している. 気候変動の影響により,そのリスクはさらに高まる.これを回避するためには,ハード・ソフトに跨がる各種対策の検討と関係者の合意が必要となるが, コンテナターミナルは多様な施設から構成されており,各施設の対策がコンテナターミナル全体として提供するサービスの継続性や強靭性向上に対して どの程度寄与するかを定量的に明示できないことが,抜本的な対策に繋がらない一要因となっている.
本研究では上記問題の解決に向けた検討フレームと,その実現に向けた端緒としてストレステストを活用した, コンテナターミナル全体としての浸水脆弱性と浸水対策効果を定量的に評価できる実務的な手法を提案する. その上で,モデルコンテナターミナルを対象とした浸水脆弱性の評価と改善検討の事例を示す.
【執 筆 者】
宮田 正史、竹信 正寛、大鳥 靖樹(東京都市大学*)、小野 憲司(京都大学)、吉田 郁政*、
赤間 康一(国交省鉄道局)、神野 竜之介(パシフィックコンサルタンツ(株))、富田 孝史(名古屋大学)、 芝﨑 康介(横浜港埠頭(株))、上杉 主悦(阪神国際港湾(株))、海野 吉輝(鈴与(株))

