2026-07-07 国土技術政策総合研究所
国総研資料 第 1344 号

<関連情報>
- https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1344.htm
- https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1344pdf/ks1344.pdf
【概 要】
国総研資料 No.1134(前報)では,運輸安全委員会の事故調査報告書を基に,船舶の係留施設への衝突事故について, 主として事故に至る経緯や操船状況等に着目した基礎的分析を行った.本資料では,国有港湾施設毀損事故報告書および復旧報告書に基づき, 360件の係留施設の損傷事案を対象として,前報での基礎的分析の項目を続編として部分的に踏襲するとともに,係留施設側の損傷内容や 復旧工期および復旧コストに着目した基礎的分析を加えた.
2017~2021年度に発生した国有係留施設の毀損事故を対象に分析を行った結果,係留施設本体および防舷材の損傷は, 他の付帯設備と比較して復旧工費が高額となり,復旧工期も長期化しやすい傾向が確認された.特に防舷材については,在庫や予備品の有無, 製作期間,施工条件等が復旧工期に大きく影響し,係留中のうねり等により複数基が同時に損傷するケースでは,港湾機能への影響が大きくなることが 明らかとなった.また,事故発生時の船舶の状況(着岸時,離岸時,係留中等)や船体衝突箇所と,損傷を受ける係留施設の設備種別との間に, 以下をはじめとするいくつかの傾向(関係性)が確認された.
・係留施設本体への衝突は着岸時の船首側の衝突に集中する.
・上部工,防舷材,係船柱への衝突は6割前後が着岸時に発生している.
・車止やコーナー材への衝突は着岸時と同じく離岸時においても4割程度が発生し,
離岸時の船舶の接触個所は船尾側が多い.
本資料で得られた知見により,係留施設の計画・設計・維持管理および事故防止や復旧,被害軽減の視点から, 船舶衝突の実態や復旧負担の大きさを考慮した対策の検討を行うための基礎資料として活用されることが期待される.
【担当研究室】
港湾・沿岸海洋研究部
【執 筆 者】
松田 茂、宮田 正史、中本 隆(港湾空港技術研究所)

