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下水道分野における地球温暖化対策の推進

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国総研レポート2020(研究期間 : 平成 29 年度~令和元年度)
国土技術政策総合研究所 下水道研究部 下水処理研究室
室長 田隝 淳
研究官(博士(工学)) 粟田 貴宣
研究官 松橋 学

(キーワード) 下水道,地球温暖化,一酸化二窒素

1.はじめに
 国総研では、地球温暖化対策として、下水道から排出される温室効果ガスである一酸化二窒素(以下、N2O)について排出量の実態や排出因子の把握について研究を進めている。本稿では排出量の実態調査結果について記述する。

2.実下水処理場のN2O排出量調査
下水処理場における生物学的な排水処理過程において、強温室効果ガスであるN2Oが副生成物もしくは中間生成物として発生することが知られている。これまで国総研では、様々な下水処理場にてN2O発生量調査を実施し、データの蓄積を行ってきた。その結果、処理方式によってN2O発生量は大きく異なり、標準活性汚泥法の好気槽において他の処理方式と比較して高いN2O排出量が観察された1)。昨年度の調査では疑似嫌気好気活性汚泥法を対象とし、秋季および冬季に4時間毎のN2O発生量の調査を実施した。その結果、秋季と冬季のN2O発生量に違いがあることを確認した2)。本年度は昨年度の結果を踏まえて昨年度と同一処理場において春季および夏季のサンプリング調査を実施した。
サンプリング時の各態窒素濃度及び溶存有機物濃度(DOC)の測定結果を図に示す。年間を通して溶存有機物の除去は達成されている。一方で、アンモニア→亜硝酸→硝酸と進行する硝化プロセスにおいて、冬季においてアンモニアの残存が見られるようになり、春季においては殆どがアンモニア態であった。夏季においてアンモニア酸化が進行していたが、進行が不完全であり亜硝酸の蓄積が観察された。
サンプリング時のN2O濃度測定結果から秋季、冬季、春季、夏季の処理水量あたりのN2O発生量は、それぞ
れ54、38、101、11977mg-N2O/m3であった。夏季における亜硝酸の蓄積がN2O発生量増加の要因の一つで
あり、亜硝酸蓄積の原因は硝化の立ち上がり段階で硝化に適した微生物叢に至っていないことが原因であると考えられた。

図 各態窒素濃度及び溶存有機物濃度

3.今後の展開
さらなるデータ取得により、年間の微生物叢変遷のサイクルの再現性の確認をし、反応槽内の硝化に関与する微生物とN2O発生量の関係から、N2O発生抑制に適した微生物叢を保持するための条件を明らかにし、N2O発生抑制運転方法を提案する。

☞参考資料はこちら
1) 国総研レポート2018
2) 国総研レポート2019
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/report.html

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