ad

防食被覆層の有機酸劣化に関する基礎的検討

ad

2020-09-24 日本下水道事業団 技術戦略部 橋本 敏一・細川和也・中⻄ 啓(現・京都府)

背景

  • 近年、エポキシ樹脂を用いた塗布型ライニング工法の施工箇所(ビルピットなど)において、有機酸に起因する劣化の発生が報告されている。
  • 下水処理場内でも、汚泥処理施設など、有機酸濃度が⾼くなり得る施設があるため、JS防⾷マニュアル※H29年度版では、耐有機酸性を求める場合の品質規格を新たに設定。
  • しかし、有機酸による防⾷被覆層の劣化現象や劣化に伴う物性変化などについては、⼗分な知⾒がないのが実情。

目的

  • 有機酸による防⾷被覆層の劣化に関する基礎的な知⾒を得ることを目的に、耐有機酸性を有する防⾷被覆材料と有さない防⾷被覆材料を⽤いて、JS防⾷マニュアルの品質規格に準拠した酢酸浸漬試験を実施。

浸漬試験結果のまとめ

  • 耐有機酸性が異なる防⾷被覆材料(エポキシ樹脂)を⽤いた酢酸浸漬試験の結果、防⾷被覆層の劣化現象について、以下の知⾒を得た。
  • 耐有機酸型樹脂は、酢酸浸漬による外観変化はなく、重量変化や形状変化、物性変化(硬度、曲げ強さ)の点においても、⼀般型樹脂と比較して、酢酸の影響を受け難いことが確認された。
  • アルカリマーキング法を⽤いた有機酸浸透深さの測定で、⼀般型樹脂では、全ての試験条件で酢酸の浸透が認められるのに対して、耐有機酸型樹脂は、⼀般型樹脂と比較して、酢酸の浸透が抑制されていることが明らかとなった。
  • JS防⾷マニュアルの品質規格に規定する酢酸浸漬試験により、防⾷被覆層の耐有機酸性を評価できることが確認された。

今後の課題

  • JS防⾷マニュアルの耐有機酸性の評価項目(下表)は、外観のみとなっている。
評価項目 品質規格
浸漬後の外観 5%の酢酸水溶液(23℃±2℃)に、60日間浸漬しても被覆にふくれ、割れ、
軟化、溶出がないこと。ただし、酢酸水溶液の濃度は5%以上としてもよい。
  • 今回の酢酸浸漬試験結果より、以下の知⾒が得られた。
    ⇒現⾏の試験条件では、ふくれなどの品質規格に定める外観変化はわずかであり、試験を⾏う者により評価に差異を生じる可能性も考えられる。
    ⇒ 10%酢酸浸漬では、5%酢酸浸漬と比較して、影響が顕著であった。
    ⇒物性測定の結果、一般型樹脂への有機酸の影響が明確であった。特にバーコル試験は簡便であり、耐有機酸性の評価に有効と考えられる。
  • 有機酸による防⾷被覆層への影響を明確に評価するため、今後さらに酢酸浸漬試験等による知⾒を蓄積し、品質規格への反映が望まれる。











ad

1002下水道
ad
ad
Follow
ad
ad
タイトルとURLをコピーしました