国総研レポート2020(研究期間 : 令和元年度~)
国土技術政策総合研究所 住宅研究部 住宅ストック高度化研究室
室長 片山 耕治 主任研究官 三島 直生
住宅研究部 住宅性能研究官(博士(工学)) 長谷川 洋 住宅計画研究室 室長 藤本 秀一
(キーワード) BIM,公共賃貸住宅,維持管理,i-Construction
1.はじめに
国土交通省では i-Construction の取り組みをはじめ、建設事業における生産性の向上が求められている。また、令和元年度6月から建築 BIM 推進会が発足し、建築分野での BIM の活用の推進のための取り組みが始まっている。
今後、公共賃貸住宅分野においても建築技術職員・管理担当職員の減少等が進むことが予想されており、建設事業に係る設計業務・施工・維持管理業務の効率化と品質の確保、さらに、維持管理の効率化等を実現する新たな手段の一つとして建設、維持管理段階での BIM 導入が考えられている。
2.公共賃貸住宅の BIM モデル開発
本研究は、高度経済成長期に供給され耐用年数が到来する公共賃貸住宅のストックの更新・維持管理は喫緊の課題となっていることから、公共賃貸住宅を対象にストックの更新・維持管理の効率化等を図るために BIM 導入の有効性を検証するものである。
公共賃貸建設事業に適した BIM モデルの開発として、実際の賃貸住宅建設(建替)事業に即して、公共賃貸住宅の設計及び維持管理業務において汎用的に利用できる BIM モデルの試作を行い、BIM導入の効果、有効性等について検討を行うものである。
検討に際しては、有識者、建築研究所や公共賃貸住宅建設事業者の協力を得ながら取り組んでおり、昨年度は、公共賃貸住宅の建設(建替)事業に係る BIM モデルを作成し、BIM 導入の効果、有効性を検証するとともに、建設後の維持管理段階での活用を想定した BIM モデルの導入の可能性に関する調査等を実施したところである。
今年度は、昨年度作成した建設段階での試作BIM モデルを参考に、維持管理段階で活用可能なBIM モデルの試作を行い、公共賃貸住宅事業者のヒアリング等を行い BIM 導入の効果と有効性について検討を行っている(図 研究の概要 参照)。
図 研究の概要
3.今後の方向性
今後は、本研究の成果をもとに「公共賃貸住宅の建設事業に適した BIM モデルの作成及び利用に関するガイドライン案」の整理を行うこととしている。
☞詳細情報はこちら
1) 住宅ストック高度化研究室サイト http://www.nilim.go.jp/lab/ieg/index.htm