2022-01-12 京都大学
小木曽哲 人間・環境学研究科教授、町田嗣樹 千葉工業大学上席研究員、中村謙太郎 東京大学准教授らの研究グループは共同で、南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ: Exclusive Economic Zone)内の広範囲に分布するマンガンノジュールが、海洋深層の海流の流入をきっかけに断続的に形成を開始し、広大な密集域へと成長していったことを明らかにしました。
本研究グループは、X線CT装置(CT)と微小領域蛍光X線分析装置(µXRF)を用いた分析によって、ノジュール内部の微細な三次元層構造を詳細に解析し、成長履歴を解読しました。その結果、南極の周囲を流れる下部周極深層水(LCDW:Lower Circumpolar Deep Water)から発生し北上した海洋深層の海流が、南鳥島周辺海域に南部から長期間にわたって何度も流入し、その度に新しいノジュールの形成開始と既存のノジュールのさらなる成長を促したことを突き止めました。
さらに、深層水の流路を強くかつ長期間支配しているのは、EEZ内に分布する大きな海山やプチスポット火山などの小さな海丘のクラスター(集まり)の配置という地形的な枠組みであることも明らかにしました。南鳥島EEZで発見されたようなマンガンノジュール密集域は、海洋深層水の流れの「古くからの道しるべ」であると言え、今後、地形と深層海流という新しい着眼点を手掛かりに、未知のマンガンノジュール密集域を効率的に発見できる可能性が示されました。
本研究成果は、2021年10月7日および11月10日に、国際学術誌「Minerals」に掲載され、2022年1月12日に記者発表が行われました。
図:本研究の調査海域とマンガンノジュール密集域の様子
研究者情報
研究者名:小木曽哲