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令和2年7月豪雨災害調査報告

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JICE REPORT 第38号 国土技術研究センター

2021-01
河川政策グループ首席研究員 佐古 俊介
河川政策グループ副総括(研究主幹) 宇根 寛
河川政策グループ上席主任研究員 高橋 正樹
河川政策グループ研究員 日請 真宏
河川政策グループ研究員 真野 友里子
河川政策グループ研究員 石川 直樹
河川政策グループ研究員 水田 詩文

1 調査概要

1.1 はじめに

西日本から東日本にかけての広い範囲で、長期間にわたる大雨となった「令和 2 年 7 月豪雨」では、7 県に大雨特別警報が発表され、全国で約 65 万世帯、約 140 万人に避難指示(緊急)が発令された。
大雨の要因は、偏西風の蛇行の持続により本州付近に停滞した梅雨前線に沿って西から流れこんだ水蒸気と、日本の南で南西に張り出した太平洋高気圧の縁辺を回る南からの水蒸気が、西・東日本に大量に集まりやすい状態が継続し、また気圧の谷の影響で上昇流が強まり、梅雨前線の活動が強化されたことである。
特に顕著な大雨となった 7 月 3 日から 8 日にかけては、線状降水帯が九州地方で多数発生し、総降水量に対する線状降水帯による降水量の割合が「平成 30 年 7 月豪雨」より大きいといった特徴が見られた 1)。
この大雨により、球磨川では観測史上最高水位を記録する洪水となり、本川の堤防が 2 箇所で決壊した他、複数箇所での越水や溢水により浸水被害が発生した。人吉市の市街地では記録的な浸水深となり、多数の家屋が浸水した。また、球磨村の特別養護老人ホーム千寿園(せんじゅえん)では入所者 14 名が犠牲となるなど、甚大な被害となった。
一般財団法人国土技術研究センター(以下、JICE)では、2020 年 7 月 11 日に人吉市を中心として、球磨川の堤防と流域における市街地等の被害状況について現地調査を行ったため、ここに報告する。

2 堤防被害調査

3 浸水被害調査

4 調査結果の総括(まとめ)

4.1 高い水位での越流と逆越流、人吉の地形がもたらした被害

今回の球磨川では、氾濫による浸水深が戦後最大であった「昭和 40 年 7 月洪水」を上回り、激甚な災害が発生した。
河川堤防では、国管理河川(球磨川)で決壊 2 箇所、越水 3 箇所が記録されており、溢水した箇所も併せると、延長の半分に相当する 60km の区間で氾濫をしたという報道もなされている 。
堤防被災箇所の現地調査結果からは、堤防天端における漂流物の確認や、堤防裏のりの植生の倒伏状況等から、現況堤防高さを上回る水位によって越水が発生した箇所が多数見受けられた。また、堤内地の漂流物による洪水痕跡は天端から2 ~ 3m 程度高いところに見られることから、堤防天端を大幅に超える水位に達したものと推測される。
決壊箇所 2 箇所については、堤内地の道路の舗装のめくれやガードレールの倒壊の方向、道路盛土のり尻付近の洗掘状況に加え、決壊箇所付近の堤防天端における漂流物の確認や、堤防裏のりの植生の倒伏状況等から、上流側の氾濫水が河道に戻る際に生じた逆越流によって決壊したことが推測される。今後、堤内地と河道の水位の時刻歴も含めた分析や、破堤時刻の推定等含めて、複合的な分析を行うことが必要である。
堤内地については、人吉盆地の中でも人口・資産が集積している人吉市の中心市街地において最大 4 メートルを超える浸水が発生し、住家に加えて多数の商店や宿泊施設が被災したことが今次水害で着目すべき点である。これは、人吉市が盆地の出口に位置し、水が集まりやすく滞留しやすいという地形条件に因るものであるが、地域の産業や観光の拠点が甚大な被害を受けることによる周辺地域への波及的・長期的な影響を考慮すると、水害リスクを地域全体で適切に分担する等の工夫が必要であると考えられる。

5 JICE における今後の取組

詳しい資料は≫

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