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津波対策における二段防災とその展開

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JICE REPORT 第38号 国土技術研究センター

高知工科大学 学長 磯部 雅彦 氏

はじめに

本日の講演テーマは、「海岸災害」についてです。海岸災害の主なものとしては津波、高潮、そして海岸侵食などがあります。それに地球温暖化が加わってきたという状況ではありますが、今日はこの中で特に津波と高潮を中心にお話をしていきたいと思います。

1 海の波の周期による分類例

2 巨大津波発生のメカニズム

3 津波災害の特徴

4 津波に対する “二段防災„

5 高知県における津波対策の現状

6 これまでの高潮災害と対策

7 高潮に対する “二段防災„

8 気候変動(地球温暖化)

9 今後の沿岸防災システム

10 まとめ

津波、高潮、そして少し気候変動の話もさせていただきました。行政的にも法律に基づいた津波防災地域づくり法、あるいは水防法の改正があり、気候変動適応法の制定もあったわけですが、海岸という場は一つなのでこれを統合的に考えなくてはいけない。しかし、ある海岸では津波に比べると高潮の方がずっと深刻なので、初めにそちらの対策を行えば良いで済んでしまうかもしれませんが、別の海岸ではその逆もあるかもしれませんし、両方もあるかもしれません。整理をする必要はあると考えています。
その上で今、枠組みができたレベル 1、レベル 2 の対策というものを着実にやっていく。その中のキーワードは構造物の「粘り強い化」、さらにレベル 2 では「逃げる気があり、逃げる人は人命が助かります」と言いましたが、逃げない限りは助からない。構造物による防護で言えば、技術者、専門家に任せておきなさい、住民の皆さんは黙っていても助かりますということでしたが、やはり住民自身が能動的に避難をしない限りは助かりません。しかし、それが実際には出来ていないという調査結果もあり、そこをどうしていくかは意外と深刻なテーマになります。
また「長期的に考えていく」というテーマも別にあります。今は単純に「堤防を作ります、あとは逃げます」という取り組みの話しか出来ませんでしたが、同じ防護にするといっても、防護、順応、あるいは撤退など色々な手段があります。一言で言うと、危険な所には住まないという事ですが、危険な所から出て行けというよりは、ここが安全なので来ませんかと言い方の方が私としては良いと思います。私たち土木に関わる者、あるいは都市計画に関わる者は安全な所を保証して作るということも、同時にやっていく必要があると思います。
また、保険とか課徴金制度の導入や、土地利用計画制限を厳格にしなければという意見もありますので、まずは総合的に沿岸域防災システムの構築を行っていかなくてはいけないと感じています。

詳しい資料は≫

本内容は 2020 年 7 月 3 日に第 34 回技術研究発表会における特別講演としてご講演いただいたものです。
本講演を映像でご覧になれます。
■国土技術研究センターの YOUTUBE チャンネル
URL:https://www.youtube.com/watch?v=lNm2aHaYcpw

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0904河川砂防及び海岸海洋
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