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xEVに必須のレアメタル「コバルト」の安定供給にオールジャパンで挑戦

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コバルト鉱石から電動車へ、イメージ写真

サイト内リンクを開く「EV普及のカギをにぎるレアメタル」でお伝えしたように、研究や普及が進む電気自動車(EV)には大量の鉱物資源が必要となります。とりわけ重要なのが、「レアメタル」と呼ばれる希少金属。このレアメタルを日本国内で安定的に供給していくには、官民が連携して、さまざまな課題をクリアする必要があります。今回はxEVに必須のレアメタルのひとつである「コバルト」に焦点をあてて、その確保のためどのような施策が進められているか見てみましょう。

自動車の電動化に欠かせないレアメタル

日本をはじめとした諸外国では、今後EVなど、電気を動力源とする電動車(xEV)が急速に普及していくと考えられています(サイト内リンクを開く「『電気自動車(EV)』だけじゃない?『xEV』で自動車の新時代を考える」参照)。もともと自動車は多くの鉱物資源を必要としますが、電子部品の多いxEVには、さらにたくさんのレアメタルなどが使われています。

たとえば、車体価格の1/3を占めるとされるリチウムイオン電池には、リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトなどのレアメタルが使用されています。また、駆動モーターにもジジム、ジスプロシウムなどが使われています。

自動車の電動化にともなって必要となる鉱物資源
自動車の電動化にともなって必要となる鉱物資源を部分別に示した図版です。

これらのレアメタルは、xEVの普及にともなって急速に需要が増加しています。その中でも、コバルトだけは新規の採掘プロジェクトが限られた数しかなく、2020年ごろにも供給が不足する可能性があると言われています。

世界の鉱物資源の需給の見通し
コバルト、リチウム、グラファイト、ニッケルについて、世界の需給の見通しを示したグラフです。

(出典)Bloomberg

コバルトが抱えるさまざまな問題

レアメタルが持つ大きな課題のひとつとして、存在する国が偏っており、政情に不安のある国が多いことがあります。中でもコバルトは、アフリカのコンゴ民主共和国が世界生産の半分以上を占めていますが、2000年代に入っても不安定な情勢が続いてきました。2009年に停戦し、情勢は改善傾向にありますが、課題も残っています。

コバルトの世界生産量(年間)
コバルトの世界年間生産量と国別シェアを示したグラフです。

(出典)JOGMEC, Industrial Minerals, USGS等により経済産業省が作成

今後のコバルト増産計画も、ほぼすべてコンゴ民主共和国におけるプロジェクトであるため、ますますコンゴ民主共和国への依存度が高まると考えられます。

こうした中、各国ではコバルト確保のために動き始めています。たとえば、中国資本の企業では、世界のコバルト鉱石の生産シェアのうち、35%の権益を確保しています。

中国の動きに代表されるように、世界ではさまざまな形でコバルトの確保が進められています。テスラ、アップル、フォルクスワーゲン、サムソンなど、コバルトユーザーである世界的メーカーは、調達中心だった資源確保の戦略を見直し、みずから積極的な資源の確保に動き出しています。

コバルト鉱石の生産シェア(2016年)
2016年のコバルト鉱石の生産シェアを示したグラフです。

(出典)JOGMEC, CRU, Industrial Minerals, USGS等により経済産業省が作成

オールジャパンでコバルトの安定供給に挑む

日本企業も、ある程度のリスクを覚悟して資源を確保する必要性に迫られています。xEV向けリチウムイオン電池に必須であるコバルトの安定供給を実現しなければ、この先、日本ではxEVがつくれなくなり、世界の電動化の流れに取り残されてしまう可能性もあります。

ただ、コンゴ民主共和国には政情不安とは別に、児童労働や紛争鉱物(紛争の資金源となってしまっている鉱物)といったリスクも存在しています。日本の民間企業が主導して鉱山投資を行うことは、相当に難しいものがあると言えます。

しかし、国内産業の競争力を維持し、これからの雇用を確保するためには、コバルトの安定供給がぜひとも必要です。そこで、政府や独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などの政府機関が連携し、資源開発企業からユーザー企業までを含めたオールジャパンで、資源を確保していこうという動きがスタートしました。

経済産業省および関係企業は、コバルトなどの資源を共同で調達・備蓄できるスキームを、2018年度中に立ち上げることを目指して、検討を進めています。長期的に日本の自動車メーカーなどが鉱物資源を安定的に調達できる状況をつくるとともに、児童労働などの問題のないクリーンな鉱物を調達できるよう、スクリーニングのための国際的枠組みを構築することも検討課題です。

また、リサイクルの体制や技術の構築、省資源・代替材料の開発を進めていくことも必要性が高いと考えられます。これらの対策についても、今後、積極的に取り組んでいく予定です。

お問合せ先

記事内容について

資源・燃料部 鉱物資源課

スペシャルコンテンツについて

長官官房 総務課 調査広報室

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