2026-08-10 国土技術政策総合研究所
近年の海面上昇や波浪増大を背景に、既設防波堤の嵩上げ対策で重要となる差し筋のコーン状破壊照査について検討した。国土交通省国土技術政策総合研究所は、差し筋配置、埋込長、コンクリート強度などの設計条件が作用耐力比に及ぼす影響を分析。その結果、港外側から1列目または2列目の差し筋列が、条件によって最も厳しい照査対象となることを明らかにした。さらに、嵩上げ幅、埋込長、差し筋間隔から最重要列が入れ替わる条件を整理し、重点的に照査すべき差し筋列を効率的に判断できる「B-dslimグラフ」を提案した。防波堤嵩上げ設計の合理化と照査負担の軽減への活用が期待される。

<関連情報>
- https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1351.htm
- https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1351pdf/ks1351.pdf
国総研資料 第 1351 号【概 要】
近年,気候変動に伴う海面上昇や波浪の増大を背景として,既設防波堤の嵩上げ対策の重要性が高まっている. 嵩上げ部と既設構造物の一体化に用いる差し筋については,コーン状破壊の照査において全ての差し筋列を設計対象とする必要があるが, 差し筋配置条件等の影響により,実務上は照査の負担が大きいことが課題となっている.
本検討では,防波堤嵩上げ時の差し筋を対象に,差し筋配置,埋込長およびコンクリート強度等の設計パラメータが, コーン状破壊に対する作用耐力比に与える影響を分析した.その結果,作用耐力比が相対的に大きくなりやすい差し筋列は, 港外側から数えた最前列とその内側の列(1列目および2列目)で条件により入れ替わることを明らかにした.
さらに,この入れ替わり(逆転)が生じる条件を嵩上げ幅,埋込長および差し筋間隔により整理し, コーン状破壊照査において重点的に留意すべき差し筋列を効率的に把握するための図表(B-dslimグラフ)を提案した.
【担当研究室】
港湾施設研究室
【執 筆 者】
本間 靖明、竹信 正寛
