JICE REPORT 第38号 国土技術研究センター
2021-01 名古屋大学 減災連携研究センター長 福和 伸夫 氏
( 2020 年 9 月 29 日に国土政策研究所講演会より)
はじめに
我々人類は、色々な災禍の中で歴史の転換期を迎え、つねに災害を乗り越え、「災い転じて福となす」としてきました。「相手の力をよく知り、自分の力もよく知り、それに対して事前対策をすること」で、なんとか成し遂げてきたように思います。しかし、昨今はそれが少し出来なくなった状況もあり、「何とかしたい」という想いでお話をさせて頂きます。
1 自然災害と疫病による歴史変化
2 災異改元が多い日本の元号
3 平成から令和にかけての災害
4 建築物により異なる耐震力
5 生かされていない東日本大震災の教訓
6 大阪北部地震や北海道胆振東部地震の教訓と問題点
7 台風に関する日本の問題点
8 災害大国である日本
9 新型コロナウィルスの蔓延により新たな価値観へ
10 東京を襲った 3 大地震
11 自立分散型の国土構造にする重要性
12 中部での連携の取り組み
13 愛知県をモデルとしたケーススタディ
14 今後の防災施策の在り方
15 新たな価値観で国を活性化
質疑応答
16 まとめ
本日申し上げたことは比較的単純な話で、昔の災害を学びながらこれから起きることを想像し、その上で「彼を知り己を知れば百戦殆うからずになる」と良いと思っています。
読売新聞に掲載された版画で、版画家の方が日本列島を馬に見立てて描かれました。そして、メッセージを頂いたのですが「馬を乗りこなすには馬の性格をよくわからないといけない」ということで、「私たち日本人はもっと日本を知るということが、日本をうまく乗りこなす一番大事なこと」と仰って頂きました。彼を知れば「君子危うきに近寄らず」で危険回避ができます。己を知れば自分を強くすればいいので「転ばぬ先の杖」となり、「備えあれば憂い無し」です。ちゃんと前向きにやっていけば「災い転じて福となす」ということです。大きな災害でも日本がきちんとやっていけると世界に見せることが出来れば、日本にとって最も幸せなことのような気がします。
この国土技術研究センターがこういった推進役になって頂けると嬉しいと思うところであります。
本内容は 2020 年 9 月 29 日に国土政策研究所講演会として収録した内容によるものです。
本講演を映像でご覧になれます。
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