2020-09-24 日本下水道事業団 ○山本 明広,清水 克祐(現・名古屋市),橋本 敏一
フォローアップ調査の経緯
※1 下⽔道コンクリート構造物の防⾷抑制技術及び防⾷技術指針・同マニュアル
※2 同一条件の硫酸浸漬試験で中性化深さがJISモルタルの1/5となるモルタル
※3 同一条件の硫酸浸漬試験で中性化深さがJISモルタルの1/10となるモルタル
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・令和元年度に完了した10倍モルタルのフォローアップ調査結果報告
・フォローアップ調査結果を踏まえたJS防⾷マニュアルに⽰す設計⽅法の⾒直しの必要性
フォローアップ調査の概要
◆フォローアップ調査を実施した耐硫酸モルタル
◆調査⽅法
・実際の下⽔処理場最初沈殿池をフィールドとしてフォローアップ調査を実施
◆調査項目
・試験施工調査︓最初沈殿池越流トラフ部に上記4材料を用いた試験施工を⾏い、経年変化を調査
・曝露試験 ︓最初沈殿池気相部に4材料および普通モルタルの円柱供試体を吊るし、外観および中性化深さの経年変化を調査(共同研究を実施した4社の耐硫酸モルタルを使用)
フォローアップ調査のまとめ
・共同研究で開発された10倍モルタルの実環境における耐久性を確認するため、実処理場にて、約10年にわたる試験施工調査及び供試体の暴露試験を実施した。
◆試験箇所の環境
・フォローアップ調査を実施した最初沈殿池気相部の平均硫化水素濃度は11ppmであり、腐食環境はⅡ類に分類されるが、最大で200ppmを超える値も計測される腐食環境であった。
◆試験施工調査
・このような腐⾷環境下においても、試験施工を実施した耐硫酸モルタルに、浮きやひび割れは⾒られなかった。
◆暴露試験
・曝露供試体には、経年による顕著な質量変化や、中性化は⾒られず、非常に良好な状態を維持していた。
◆耐硫酸モルタルの耐硫酸性評価
・試験施工11年、曝露試験10年にわたる調査の結果、耐硫酸モルタル(10倍モルタル)の性能が確認された。
◆JS防⾷マニュアルの⾒直しの必要性について
・10倍モルタルを用いた今回の調査では、硫酸の浸透や断⾯⽋損が⾒られず、モルタルライニング工法の設計で必要とされている「腐⾷しろ」を考慮しなくてもよいといえる結果であった。今後さらに知⾒を重ね、設計⼿法の⾒直しの必要性について検討する。