ad

全国の自治体における流域活性化に関する研究

ad
ad
ad

A study on waterfront revitalization in Japanese municipalities

リバーフロント研究所報告 第 31 号 2020 年 9 月

まちづくり・防災グループ 研 究 員 佐治 史
技術参与 土屋 信行
まちづくり・防災グループ グループ長 阿部 徹
まちづくり・防災グループ 次 長 竹内 秀二

1.研究の目的
本研究は、全国各地の地方自治体が主体となって実施している流域活性化に関する取組みを対象に、活動の経緯、目的、内容を調査・分析し、他の地方自治体の参考となる仕組みの検討を目的とする。

2.研究の方法
流域活性化の取組事例として、本研究では「全国川サミット」(H4~現在、以下「川サミット」という)を取り上げ、過去の開催報告資料、令和元年度開催の「第 28 回全国川サミット in 宮崎」(主催:宮崎県宮崎市、令和 2 年 1 月 24 日、25 日)への出席、次回開催地の岩手県一関市への引継ぎ情報を基に、活動の継続や活性化に資する要素を抽出した。

3.全国川サミットとは
川サミットは、一級河川と同じ名称の自治体同士の交流を通して、川の環境、流域の生活や歴史への理解を深め、その普及啓発を目的に平成 4 年度から毎年持ち回りで開催されてきた。平成 17 年(第 14回)の総会において新しく会則が施行されたことにより、平成 19 年(第 16 回)から、一級河川名の市区町村に加え、一級河川流域の市区町村や協議会の目的に賛同する市区町村も参加できることになった。
川サミットは、近年 2 日間かけて開催されることが多く、1 日目は行政関係者を対象とした会議が実施され、2 日目は一般参加も可能な式典が執り行われている。2 日目の式典では、地域の小中学校をはじめ地域団体等による川の環境学習や上下流域の地域間交流に関する事例発表や、実務者や学識者、文化人等の記念講演が行われている。

全国の自治体における流域活性化に関する研究

表-1 川サミット開催地及び参加市区町村数

4.検討の内容・結果
(1)活動の継続に資する仕組み
①運営体制
川サミットの主催は、「全国川サミット連絡協議会」(以下「協議会」という)とその年度の開催自治体である。
協議会に継続会員は設定されておらず、開催 大淀川ごとに参加する市区町村が会員となる。組織がゆるやかである一方で、開催自治体では実行委員会や作業部会が結成され、議論を重ねながらサミット開催に至るまでの企画・調整・運営が図られてきた。
平成 29 年度から常設事務局が設置され、過去の資料収集・提供等の資料のアーカイブを主な役割として活動しており、(公財)リバーフロント研究所がその任を担っている。
②資金調達
川サミット開催に係る予算は、実績に基づくと概ね 420~550 万円であり、開催自治体の負担はその約 10 分の 1 に抑えられている。背景には、開催自治体が、河川財団や各地の河川協会からの公的・民間団体の活動助成金や、川サミットに参加する参加自治体負担金等をうまく組合せて自主的に資金調達を行い、経費負担を抑
えている。
③次期開催地の選定
次期開催地の選定は、開催自治体が 2 年後の開催地を指名することが慣例となっている。2年間の準備期間を設けることで、テーマ設定や各種調整、予算確保等に比較的余裕をもって対応することが可能となっている。宮崎市は、本省河川環境課や九州地方整備局の尽力により令和 3 年度の開催地に愛知県岡崎市を選定した。
(2)主な実施内容
①首長による意見交換の実施
毎回「首長サミット」の時間が設けられ、令和元年度は「川がもつ二面性との共存」をテーマに、平時と災害時における水辺の利活用について、取組紹介や意見交換が実施された。そのなかでは、人々の暮らしや各種産業、アユなどの豊富な水資源を育む川の恵みや、かわまちづくり支援制度をはじめミズベリングプロジェクト等と従来の地域の河川利用とをうまく組み合わせながら、川とまちを結びつけて賑わいを創出している取組みについて紹介があった。一方で、近年の気候変動による異常豪雨で、いつ大災害が発生してもおかしくない状況の中
で、整備計画に位置づけられている整備の着手や、ソフト対策としてハザードマップを活用しながら住民に早期避難を促すなど社会全体で常に洪水に備える水防災意識の構築の必要性も再確認された。
参加した首長からは、「地域の実情に関する意見交換ができたので有意義であった」「環境保全の大切さ、川と共に生きることの大切さなどをより良い形で次世代に引き継ぐ必要性を今回の川サミットを通じて再認識した」等の声が聞かれた。
②川サミットを契機とした自治体間の連携強化
川サミットへの参加をきっかけに、姉妹都市提携が締結されたり(砺波市・むかわ町)、友好都市協定及び災害時相互援助協定を締結した自治体間(香取市・喜多方市)で開催引継ぎが行われる等、川サミットが自治体間の連携強化の一助となっていることが確認された。
③地域における川との関わりの次世代への継承
2 日目の式典における発表は、開催地河川の流域の子供たちや住民たちが 1 年間かけて行ってきた活動報告である。今回の式典では、宮崎市立潮見小学校と大淀川環境保全クラブによる環境学習成果発表が行われた。学校関係者からは、子どもたちにとって調べ学習や、体験活動を通して河川の大切さや環境保全について考えをまとめる機会となったとの話が聞かれた。

5.今後に向けて
川サミットの特徴は、河川の流域の人々が川とのかかわりを再認識し、川と共存することで洪水の脅威を避け、多くの恵みを享受する知恵を再確認する場となることである。そのために、開催自治体を 2年前に決定し、沿川住民の協力や参加を引き出しながら、川との関係の結び直しにつとめているのである。昨今は継承すべき河川活動そのものが地域から失われつつあり、今こそ活動の掘り起こしと、それを次世代に継承していくことが求められている。そのためのひとつの場として、川サミットが果たす役割は決して小さくないと考える。


全国川サミットに関するお問い合わせ先
kitazawa-f@rfc.or.jp 担当:北澤(旧姓:佐治)

ad
0903都市及び地方計画0904河川砂防及び海岸海洋
ad
ad


Follow
ad
ad
タイトルとURLをコピーしました