土木学会論文集F4(建設マネジメント)Vol.73,No.3,pp.50-69,2017.
水谷 大二郎 東北大学 災害科学国際研究所
小濱 健吾 大阪大学 大学院工学研究科 NEXCO西日本高速道路学共同研究講座
貝戸 清之 大阪大学 大学院工学研究科 地球総合工学専攻
田中 晶大 大阪大学大学院工学研究科 地球総合工学専攻
抄録
社会基盤施設の維持管理業務では,部材の点検・評価を行う最小単位(以下,点検単位)と,その結果を受けて補修を実施する最小単位(以下,補修単位)が異なる場合がある.本研究では,点検単位で獲得された複数個の健全度に基づき,補修単位の劣化状態を評価するための集計的劣化過程モデルを提案する.具体的には,点検単位での施設の劣化過程をマルコフ連鎖モデルを用いて表し,補修単位内の健全度のパターンの生起確率を多項分布で表現した確率過程モデルを提案する.これにより,点検単位の情報を補修単位に集計化する際の情報の欠損を防ぎつつ,補修単位でのリスク管理指標を定義し,点検単位数を考慮した補修単位での相対的劣化評価を行うことが可能となる.最後に,実際の高速道路RC床版を対象とした実証分析を行う.