更新日:2017-12-28 JOGMEC調査部:舩木弥和子
- 2017年6月のラウンド2.1(浅海、探鉱・生産)では15鉱区中10鉱区、7月のラウンド2.2、2.3(陸上、探鉱・生産)では24鉱区中21鉱区、10月のPEMEXのファームアウト入札では3鉱区中2鉱区が落札され、2017年の入札ラウンドは順調な進展をみせた。
- 2018年も、ラウンド2.4(深海)、ラウンド3.1(浅海)、ラウンド3.2(陸上)と入札が続く予定だ。しかし、1月31日に実施予定であったMaximino-Nobilis鉱区を対象とするPEMEXのファームアウト入札は、関心を示す企業が現れず中止された。
- PEMEXは外資企業との提携を進める一方、単独でNobilis、Ixachi等の坑井で石油を確認しているが、予算の削減からPEMEXの探鉱・開発は停滞している。PEMEXは、ラウンド0で取得した探鉱鉱区で探鉱義務を履行できなかったが、政府は原油価格下落を理由にこれらの鉱区の契約期間を2年延長した。政府は2018年のPEMEXの探鉱・開発部門に2017年とほぼ同額の1,682億ペソを割り当てた。PEMEXは生産増のため有望なプロジェクトに予算を集中させる計画で、このうち1,000億ペソ超を7プロジェクトに投じるとしている。
- Sierra Oil & Gas/Premier Oil/Talos EnergyがCampeche 湾浅海のBlock7でZama油田を発見、Eniが、Block1でAmoca 2号井、Amoca 3号井、Miztón2号井を掘削、同鉱区の原始埋蔵量を14億boeに引き上げる等、PEMEX以外の企業による探鉱・開発にも成果が現れ始めている。しかし、汚染が発生したことを理由に作業が停止したり、契約に経済性がないとして撤退したりする企業も出ている。
- 民間企業が参入し、探鉱・開発が進んではいるものの、エネルギー改革の成果がすぐに生産増につながるわけではなく、中期的に石油生産量が増加するというのが大方の見方となっている。
- 2018年7月の大統領選挙の有力候補とされるAndrés Manuel López Obrador(通称AMLO)氏は、大統領選挙で勝利した場合、メキシコをエネルギー改革が実施される前の状況に戻すと発言しており、探鉱・開発状況とあわせて、大統領選挙の行方にも注目する必要がある。