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離岸堤等の沖合施設の 長寿命化に関する検討 ~海岸保全施設 維持管理マニュアルの改訂~

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国総研レポート 2020(研究期間:令和元年度)
国土技術政策総合研究所 河川研究部 海岸研究室
主任研究官 岩田 伸隆 室長(博士(工学)) 加藤 史訓
主任研究官 (博士(農学)) 渡邊 国広

(キーワード) 海岸保全施設,長寿命化,予防保全

1.はじめに
我が国では、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が進行しており、国土交通省では2014年5月に「インフラ長寿命化計画(行動計画)」を策定し、インフラの計画的な維持管理・更新等を推進している。
海岸法第2条に定める海岸保全施設についても、「海岸保全施設維持管理マニュアル(2018年5月)」(以下、「現行マニュアル」という)により、計画的な維持管理・更新等を推進しているが、そのうち、離岸堤、潜堤・人工リーフ、突堤・ヘッドランド(以下、「離岸堤等」という)については、他指針等を参照することとされている。
そのため、離岸堤等の管理の充実を目指し、予防保全の視点に立った、標準的な施設管理要領の検討を行っている。

2.離岸堤等の維持管理の現状
海岸保全施設のうち堤防については、高度経済成長期に急速に整備され、2015年現在で供用開始から50年以上経過した施設が約4割を占める。一方、離岸堤は図-1に示すとおり、堤防に引き続き整備が推進されたことから、今後、急速な機能低下が懸念されている。
また、図-2に示すとおり、離岸堤等の長寿命化計画の策定は、海岸堤防等に比較して遅れており、その理由として、予算・人員不足と併せ、ノウハウ不足や、点検・評価手法の未策定が挙げられている。そのため、離岸堤等の計画的な維持管理・更新等を推進するためには、点検・健全度評価基準の設定等の技術的な支援が必要である。

図-1 堤防と離岸堤の延長の推移

図-2 長寿命化計画策定状況・未策定理由

3.検討内容
現行マニュアルにおける堤防・護岸等を参考に、変状連鎖フローの検討、点検項目・健全度評価基準の検討、点検方法・対策工法等の事例収集・整理、劣化予測線の検討を行った。以下に各項目の検討概要を示す。

(1)変状連鎖フローの検討
施設の点検・健全度評価にあたっては、施設の変状要因・形態等のプロセスを踏まえる必要がある。そのため、全国から146件の変状・被災事例(「美しい海辺を守る災害復旧ガイドライン(案)」A・B表等)を収集し、その要因・形態を分類・整理し、新たな離岸堤等の変状連鎖フロー(案)を整理した。

図-3 離岸堤の変状連鎖フロー(案)

(2)点検項目・健全度評価基準の検討
前述の変状連鎖フロー(案)を踏まえた点検項目・健全度評価基準を検討するにあたり、各海岸管理者が実施した離岸堤等の点検・健全度評価の資料を収集し、変状事例の整理や、陸上目視による点検等の「必ず実施」する点検項目と、潜水調査等の「必要に応じて実施」する点検項目を設定するなど、現場で活用可能な点検項目・評価基準(案)を整理した。(図-4、5)

図-4 離岸堤の変状ランク評価基準(案)

図-5 離岸堤の一次点検項目・方法(案)

(3)点検方法・対策工法等の事例収集・整理
離岸堤等は、海面下に施設の一部又は全部が没しているため、堤防・護岸等と同様な陸上目視による点検だけでは全ての変状の把握が困難である。
そのため、陸上目視による点検に変わる新技術の活用促進を図るため、新技術を中心に点検方法・対策工法の事例を収集・整理した。(図-6)

図-6 ALBとナローマルチビームでの三次元地形計測事例

(4)劣化予測線の検討
計画的な維持管理・更新のためには、施設の劣化・変状時期を予測し、施設の修繕・更新計画を検討することが必要である。
しかし、経時的な劣化が主となる堤防・護岸等と比較し、離岸堤等については、汀線より沖側に位置することで異常波浪等による突発的な変状が主となるため、その点を踏まえながら、現在検討中である。

4.今後の予定
学識者・海岸管理者の意見を取り込んだ検討成果を、現行マニュアルの改訂に反映していく。

詳細情報はこちら
1)海岸保全施設維持管理マニュアル改訂検討委員会http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/kaiganhozen/index.html

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