2018/04/12 地質踏査総合センター
活断層・火山研究部門:石塚吉浩
地質情報研究部門:川畑大作
斜面崩壊地周辺の地質概説
図1 耶馬溪地域の位置[白枠は図2の範囲]
図2 斜面崩壊発生地付近の地質(左)と地形(右)
地質図:20万分の1地質図幅「中津」(石塚ほか, 2009)
地形モデル:国土地理院が公開する基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュより作成
大分県中津市耶馬溪金吉地区周辺の地質は、300万年前頃の火山岩類及び堆積岩類と、100万年前の火砕流堆積物から構成されています。
300万年前頃の火山岩類及び堆積岩類は、安山岩〜デイサイト質の火山砕屑岩(写真1)を主体とし、砂岩〜シルト岩及び軽石凝灰岩(写真2)を伴います。
100万年前の火砕流堆積物は、金吉地区から南方約20kmの九重ここのえ町猪しし牟田むた付近を給源とするデイサイト質の大規模火砕流堆積物(耶馬溪火砕流堆積物)で、強く溶結した凝灰岩を主体とし、その下部に非〜弱溶結の部分を伴います(写真3 )。強溶結した部分には、柱状節理が発達しています(写真4)。
写真1 安山岩〜デイサイト質の火山砕屑岩(中津市耶馬溪町宮園山国川)
写真2 砂岩〜シルト岩及び軽石凝灰岩(中津市耶馬溪町宮園山国川)
写真3 耶馬溪火砕流堆積物の下部にみられる非溶結部(玖珠町日出生ひじゅう)
写真4 耶馬溪火砕流堆積物の強溶結部(玖珠くす町古後こご立たち羽田はだの景)
図3 崩壊地周辺の概念的な断面図
更新履歴
- 2018年4月12日:「図1」「図2」の更新。