2020-01-17 国土地理院
だいち2号干渉SARによる変動について
日本の地球観測衛星「だいち2号」(ALOS-2)に搭載された合成開口レーダー(SAR)のデータを使用して画像の分析を行いました。SARで用いられる電波は噴煙を透過するため、噴火中であっても火山の地形変化の状況を把握することができます。
・火砕丘の北東側に溶岩の堆積等によるとみられる非干渉領域(砂目の場所)が1月3日以降も引き続き見られ、海岸線まで到達しています。(図11)
・1月17日のSAR強度画像では、西之島の北東側で溶岩等によるものとみられる地形変化が1月3日以降も継続しており、海岸線が変化しています。(図12、図13)
※参考:ALOS-2プロジェクト/PALSAR-2(JAXA)
(図1)2019年11月22日~2019年12月6日の解析結果
(図2)2019年11月17日~2019年12月15日の解析結果
(図3)2019年12月15日(左)及び2019年11月17日(右)のSAR強度画像
(図4)図3のSAR強度画像の比較アニメーション
(図5)2019年12月6日~2019年12月20日の解析結果
(図6)2019年12月20日(左)および2019年12月6日(右)のSAR強度画像
(図7)図6のSAR強度画像の比較アニメーション
(図8)2019年12月20日~2020年1月3日の解析結果
(図9)2020年1月3日(左)および2019年12月20日(右)のSAR強度画像
(図10)2020年1月3日のSAR強度画像の北東部を拡大した図。
青線が2019年12月20日時点での海岸線を、赤線がそれ以降に地形変化が見られた領域を示す。
(図11)2020年1月3日~2020年1月17日の解析結果
(図12)2020年1月17日(左)および2020年1月3日(右)のSAR強度画像
(図13)2020 年1月17日の SAR強度画像の北東部を拡大した図。水色線が2019年12月20日から2020年1月3日までに地形変化が見られた領域を、赤線がそれ以降に地形変化が見られた領域を示す。
(図14)2019年11月22日~2020年10月9日のSAR強度画像の比較アニメーション
※今回の結果は速報であり、より詳細な分析等により、今後内容が更新されることがあります。
※衛星SAR干渉解析の精度は一般的には数cm 程度とされています。
また、SAR衛星の観測条件が異なる場合、同じ地殻変動であっても、解析結果の見え方に違いが生じます。
※本解析で使用したデータの一部は、火山噴火予知連絡会衛星解析グループの活動を通して得られたものです。
解析:国土地理院 原初データ所有:JAXA
〇参考資料
SAR 干渉解析の原理(PDF 形式:880KB)
非干渉(砂をまいたようなざらざらした模様)とは
衛星進行方向と電波照射方向による見え方の違い(PDF 形式:100KB)
国土地理院干渉SAR ホームページ
SAR 干渉画像の誤差
(過去の更新情報)
2019年12月6日11:18時点
・火砕丘の東側に火山噴出物の影響とみられる非干渉領域が見られます。
また、北東側および南東側で収縮とみられる衛星から遠ざかる変動が見られます。(図1)
2019年12月15日23:36時点
・火砕丘の東側および北西側に火山噴出物の影響とみられる非干渉領域がみられます。
また、北東側および南東側で収縮とみられる衛星から遠ざかる変動が見られます。(図2)
・噴火後のSAR強度画像では、西之島の東側および北西側で火山噴出物とみられる地形変化が見られ、海岸線まで到達しています。(図3、図4)
2019年12月20日11:18時点
・12月6日以降に堆積した溶岩等の範囲(砂目の場所)が明瞭にわかります。12月15日以降に新たに地表を覆った溶岩等は火砕丘の北東側数100mの場所です。(図5)
・12月20日のSAR強度画像では、12月15日時点で西之島の北西側海岸線まで到達していた地形の変化が、更に広がっていることが見られます。(図6、図7)
2020年1月3日11:18時点
・12月20日以降に堆積した溶岩等の範囲(砂目の場所)は火砕丘の北東側で海岸線まで到達しています。
また、火砕丘の東側で堆積した溶岩の経時変化等によるとみられる最大数10cm程度の複雑な変動が見られます。(図8)
・1月3日のSAR強度画像では、西之島の北東側で12月20日以降の溶岩等によるものとみられる地形変化が見られ、海岸線まで到達しています。(図 9、10)
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問い合わせ先
(SAR干渉解析結果に関すること)
国土地理院地理地殻活動研究センター
地理地殻活動総括研究官 畑中雄樹
国土地理院測地部
宇宙測地課長 宗包浩志