「川崎臨海部におけるICT活用による津波被害軽減に向けた共同プロジェクト」
2019-10-24 東北大学災害科学国際研究所,東京大学地震研究所,富士通株式会社,川崎市
国立大学法人東北大学災害科学国際研究所、国立大学法人東京大学地震研究所、富士通株式会社、川崎市は、11月17日(日曜日)に行われる川崎市津波避難訓練において、津波避難におけるAI活用の実証実験を行います。4者は、2017年11月より、「川崎臨海部におけるICT活用による津波被害軽減に向けた共同プロジェクト」を進めています。本実証実験はその一環として実施するもので、2018年12月に行った津波避難におけるICT活用の実証実験に続き、第二弾となります。
東日本大震災では、自分がいる場所まで津波が来るとは思わなかったといった、安全への過信や災害情報の伝達不足が避難の遅れにつながった事例が見られました。そこで現在、本プロジェクトでは、地震発生後に時々刻々と入手される情報を基に、現在位置の浸水可能性を判定するAIを構築し、AIによる判定結果を各個人のスマホ画面に表示することで、避難を後押しするスマホアプリの開発を行っています。今回の実証実験では、住民の方々にスマホアプリ(試作版)を利用した避難訓練を体験して頂くことで、スマホを通して提供された災害情報が避難行動に与える影響や、効果的な情報提供手段のあり方について検討します。本プロジェクトは、実証実験で得られたデータや知見を、ICTを活用した防災対策の検討に活かすことで、国内外の地域防災力の強化に貢献してまいります。
実証実験の概要
日時 :2019年11月17日(日曜日) 9:00 – 12:00(川崎市津波避難訓練・川崎区総合防災訓練と同時開催)
場所 :川崎市立四谷小学校及び周辺地域(川崎市川崎区四谷上町、四谷下町、台町、塩浜1~4丁目等)
参加者 :80名を予定
災害想定 :神奈川県が設定した「慶長型地震モデル」による津波を想定
実証内容 :浸水可能性を判定するAIと避難を後押しするスマホアプリの有効性を確認する
防災講座 :避難訓練後に実施。実証参加者と当日の避難行動を振り返る
実証実験の要素技術
- 浸水可能性を判定するAI
津波が陸域に到達するまでに観測される、沖合や他地域の沿岸線での津波波形などを基に、陸域の各地点における浸水可能性を予測するAIを株式会社富士通研究所が中心となり開発しました(図1)。スマホアプリでは、津波警報やハザードマップを踏まえた避難勧告等に加え、AI予測に基づく現在位置の浸水可能性を表示します(図2)。図1:沖合の津波観測データなどを用いて、陸域の津波浸水可能性を判定するAI
- 避難を後押しするスマホアプリ
東日本大震災では、自分のいる地点まで津波が来るかどうかが分からなかったことが避難の遅れにつながった例がありました。その一方で、他者の避難行動を目撃したことが、避難開始のきっかけになった例も見られました。本スマホアプリでは、現在地から避難場所までの地図と共に、AIによる浸水可能性の判定情報、周辺避難場所への避難完了者数などを伝えることで、避難の意思決定を後押しします(図2)。また、2018年12月の実証実験において有効性が確認された、避難経路上の通行困難地点の情報等を避難者が投稿・共有する機能も提供します。図2:津波避難を後押しするスマホアプリ画面
のイメージ図
以上
関連リンク
- 川崎市においてICT活用による津波被害軽減に向けた共同プロジェクトを開始(2017年11月24日プレスリリース)
- より安全な津波避難に向けたICT活用の実証実験を実施(2018年10月30日プレスリリース)
本件に関するお問い合わせ
本実証実験について
川崎市総務企画局危機管理室
企画調整担当 大村・三原
AIとスマホアプリ(試作版)について
富士通コンタクトライン(総合窓口)