更新日:2017-12-28 JOGMEC調査部:竹原 美佳
- 中国は大気汚染対策行動期間の最終年を迎え、特に北部で急速な石炭から天然ガスへの転換を強行した結果、深刻な天然ガス不足と国内LNG価格の高騰が起きた。国内石炭価格も急騰した。
- 同国のLNG輸入は長期契約の逓増に加え需給ひっ迫への対応で前年比約1200万トン増の3800万トンに達し、韓国を上回る世界2位のLNG輸入国となる見込みである。同国の需給ひっ迫により12月に北東アジアのLNGのスポット価格は3年来の高値をつけた。
- 来年の冬は政策目標の最終年ではなく、夏場のスポットLNG調達や冬のピーク調整を早目に行うなどの対応を取ることで今回のようなパニックの様相を呈することは少なくなると思われる。
- しかし中国の天然ガス不足の問題は小手先の需給調整で解消できるものではなく、幹線パイプラインやLNG受入基地の新増設や南北地域間の連携に加え、地下貯蔵設備、都市ガス配管網整備などのインフラを整備していくことが必要であり、冬季の北部を中心とした天然ガス不足の解消には時間を要する。
- 輸入・輸送・貯蔵インフラの整備が進み、露中天然ガスパイプライン(東ルート)が全線開通する2020年以降には需要期に世界のLNGや石炭市場に大幅な影響を与えるような調達行動を取ることは季節要因を除き減少するはずだが、政策次第で需給が乱高下するエネルギー大消費国中国の行動は今後も注視する必要がある。