国総研プロジェクト研究報告 第 57 号
【概 要】 | 東北地方太平洋沖地震津波の経験を踏まえ,中央防災会議において,巨大な津波に 対してはハード対策に加え,ソフト対策を強化し,地域の人々をこれまで以上に守っ ていく方向が示された.また,南海トラフなどでの大規模な津波の発生が懸念されて いる.発生が避けられない地震津波に対して,施設による対応だけでは安全を確保す ることが難しい港湾地域において,効果的なソフト対策を見いだし,港湾地域の津波 への備えを強化していくことが必要である. 短波海洋レーダは,現在,海面の流れを観測するために使われている.その短波海洋 レーダ技術を使って津波を広範囲にわたり面的に観測し,分析することを可能にして いくため,短波海洋レーダのデータの取得や処理方法の技術を改良するとともに,短 波海洋レーダの津波観測技術の性能を実測データを使いながら擬似的にシミュレート する技術を開発した. 港湾地域で活動している人々が津波発生時に適切に避難行動をとることができるよう にしていくための津波避難計画を立案・分析していくため,開発を行ってきた津波避 難シミュレーション技術を使った計算結果と実行動との整合性を調べた.また,実際 の避難行動を計測・分析し,その結果をもとに津波避難シミュレーション技術を改良 した.改良した津波避難シミュレーション技術を使って津波避難計画の検討を試行 し,津波避難計画検討に津波避難シミュレーションを使う場合の留意事項を抽出し た. |