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2021年8月11~19日の佐賀県東部の土砂災害における衛星画像からの斜面変動範囲の推定

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2021-10-27 防災科学技術研究所

更新履歴

2021年10月27日 初版

本件に関する連絡先

水・土砂防災研究部門 秋田・若月

概要

近年は土石流や斜面崩壊といった斜面変動による土砂災害が広域かつ同時多発的に発生するケースが見られており、救助活動や早期復旧のために斜面変動の範囲を早期に把握することが求められています。防災科学技術研究所では、斜面変動範囲を抽出する手法の開発に取り組んでいます。

2021年8月豪雨で災害のあった佐賀県東部を対象に、災害前後の衛星画像から作成したNDVI(正規化植生指数)差分画像を用い、斜面変動範囲の抽出を試みました。その結果、調査範囲全域に斜面変動範囲が散在していることがわかりました。例えば、報道等で土砂災害が報じられた神崎市神崎町志波屋では、細長い土石流の痕跡が捉えられています。

NDVI差分画像を用いた斜面変動範囲の推定

抽出の流れを図1に示します。NDVI差分値に閾値を定めて二値化画像を作成し、斜面勾配などで絞り込み、斜面変動の可能性がある範囲を抽出しました。

-使用した衛星画像-

Sentinel-2/MSI(分解能10m、L2A)

災害前:2020年10月18日撮影

災害後:2021年10月3日撮影

※GIS解析作業には、ArcGIS Pro 2.8.2(ESRI JAPAN)を使用。

図2に災害前後の衛星画像から作成したNDVI差分画像を示します。解析領域は、半減期72時間実効雨量の稀さが50~100年を示していた領域(防災クロスビュー)を参考とし、広域に設定しました。なお、使用している衛星画像は分解能10mであるため、面積100m2(10m×10m)以下の変化は捉えることができません。

斜面変動などにより裸地化した範囲はNDVI差分値が大きくなり、白色であらわれます。ここでは、白色矢印のマーク付近に筋状の土砂移動らしき痕跡が読み取れます。

図2.png

次にNDVI差分値に閾値を定め、斜面変動の可能性のある範囲を抽出します。図3にNDVI差分値の閾値による二値化画像を示します。

閾値は2020年7月の熊本県西部での解析1)で求めた0.3以上を適用したところ、斜面変動の可能性のある範囲が多数抽出されました。なお、斜面勾配10度未満の範囲は、国土地理院10mDEMの標高値を使用し求めました。斜面勾配10度未満の範囲は、斜面変動の可能性が低いと判断します。

1)2020年7月3~4日熊本県西部の土砂災害における衛星画像からの斜面変動範囲抽出の試み

図3.png

図4に完成した斜面変動範囲図を示します。これは図3の二値化画像から斜面勾配10度未満、面積700m2未満の小規模裸地を除去したものです。なお、700m2は広島市西区の土石流災害の解析事例2)を参考に設定しました。

その結果、調査範囲全域に斜面変動範囲が散在していることがわかりました。例えば、報道等で土砂災害が報じられた神崎市神崎町志波屋(黒実線矢印)では、細長い土石流の痕跡が捉えられています。なお、黒破線矢印の場所は面積規模が大きいのですが、衛星画像を確認すると土地利用開発が見られ、斜面変動ではない可能性があります。

2)2021年8月11~15日の広島県広島市の土砂災害における衛星画像からの斜面変動範囲の推定

図4.png

まとめ

2021年8月11~19日佐賀県東部の土砂災害に対して、NDVI差分画像を用いた斜面変動範囲の抽出手法を適用したところ、調査範囲全域に斜面変動範囲が散在していることがわかりました。例えば、報道等で土砂災害が報じられた神崎市神崎町志波屋では、細長い土石流の痕跡が捉えられています。

なお、本解析は現地調査を行ったものではないため、抽出した斜面変動を今後現地で確認することにより、抽出手法の検証・改良を加えていきたいと考えます。

2021年8月11~19日の佐賀県東部の土砂災害における衛星画像からの斜面変動範囲の推定(短縮URL↓)

https://mizu.bosai.go.jp/key/2021Saga
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