第 22 回国土技術開発賞 入賞
応募者名:あおみ建設株式会社
技術開発者:〔あおみ建設株式会社〕 吉原 到・岡島 伸行
技術の概要
東日本大震災で被災した福島第一原子力発電所から飛散した放射性物質は、その後の降雨により、福島県内の「ため池等」の水底に堆積しています。放射性汚染土はすでにがれき撤去や道路除染等で大量に発生しており、放射性汚染土の処分場の受入容量確保と処分土量の削減は、喫緊の課題となっていました。
『水底土砂原位置分級工法』は、ため池など閉鎖性水域の堆積物を薄層で浚渫する工法で、密閉された浚渫装置内で底泥を分級して、粗粒分は原位置に残置し、放射性物質が多く吸着している細粒分のみを浚渫することで、処分土量の大幅な削減を実現しました。また、港湾及び地盤改良分野でのノウハウと最新の ICT 化技術を活用した施工管理装置により、遠隔無人化施工、高度な施工管理と大幅な省力化を実現しました。
浚渫船と施工状況
技術の特徴
底面が解放された浚渫装置を浚渫対象の水底に根入れさせ、密閉された装置内で水底土砂をウォータージェットで切削するとともに、水と土砂をミキサーで攪拌混合し、土砂を分級して、細粒分を濁水として回収する工法です。
〇 浚渫装置内に振動ふるいを装備し、比表面積が大きく放射性物質が多く吸着する細粒分のみ濁水として回収し、粗粒分を浚渫原位置に残置することで、処分土量の減容化を実現しました。
〇 攪拌中の濁水に超音波を照射して粗粒分に付着する細粒分を引き剥がすことで、残置する粗粒分に含まれる放射性物質も低減します。
〇 密閉空間内で浚渫するため、周辺に汚濁が拡散することはありません。
〇 施工機材は小型軽量で、機材搬入や機材組立作業を小型クレーン等で実施でき、進入路が狭隘な場所でも施工可能です。
〇 最新のICT化技術を活用した施工管理装置により、陸上の管理事務所からの遠隔無人化施工を実現しました。
〇 各種センサー情報を取得し、出来形・品質管理記録を自動で作成することが可能です。
水底土砂原位置分級工法の浚渫原理
水底土砂原位置分級工法の施工イメージと遠隔操作状況
水底土砂の放射線量の分布(施工前後で比較)
技術の効果
〇 水底土砂の放射線物質を確実な低減を実現。
〇 浚渫対象の水底土砂に含まれる粗粒分は原位置に残置することで、場外に処分する土量の大幅な減容化と施工コストの削減を実現。
〇 最新のICT化技術を活用した専用の施工支援システムによる、施工および品質管理の効率施工を実現。