2018-04-16 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:細野哲弘)は、平成30年3月26日付けで、ベトナム石炭鉱物産業ホールディングス株式会社(VINACOMIN(注))と、同国クアンニン炭田地域を対象に石炭資源ポテンシャル評価を目的とした地質構造調査を共同で実施するための覚書を締結しました。
当該調査は無煙炭の賦存ポテンシャルの高いクアンニン炭田を対象としており、今後のわが国への無煙炭の安定供給確保に貢献する案件として期待されます。
ベトナム社会主義共和国は、現在わが国にとって主要な無煙炭供給国の一つですが、近年の高い経済成長率に伴い同国内のエネルギー需要は増大しており、石炭資源を輸入するとともに、自国生産についても国内消費を優先する傾向にあります。そのため、日本への無煙炭の安定供給を維持する上で、同国における継続的な石炭資源の探鉱・開発が重要となります。
このような背景のもと、今般JOGMECは、首都ハノイの東約100キロメートルに位置するクアンニン炭田地域(面積約3,000平方キロメートル)において、VINACOMINと共同で石炭資源ポテンシャル評価を目的とした地質構造調査を実施する覚書を締結しました。本覚書にもとづき、今後3年間にわたり、VINACOMINが同地域内に保有する鉱区における共同探鉱調査および炭鉱開発動向調査を実施する計画です。
クアンニン炭田地域では、これまでのベトナム政府による探査によって、中~高発熱量・低硫黄分の無煙炭を含む複数の未開発石炭層の賦存が確認されており、また、道路、貯炭場、積出港などのインフラが地域内に整備されていることから、新規石炭資源の開発ポテンシャルの高い地域として期待されます。本調査により、ベトナムにおける主要な無煙炭生産・輸出企業であるVINACOMINとの関係が強化され、新規開発対象となる資源量が把握されれば、わが国への無煙炭の安定供給に貢献することになります。
クアンニン炭田地域の風景
クアンニン炭田で操業する炭鉱
覚書の概要
(1 )期間
締結日から2021年3月31日まで
(2)内容
1)共同探鉱調査
調査対象地区を設定したうえで既存データ・資料の収集・解析、地質調査、物理探査、ボーリング調査、石炭性状分析、地質工学試験、孔井地質データベース構築等を実施し、地質構造解析、石炭ポテンシャル評価等を行う。将来的に調査実施地区で商業生産が開始された場合、JOGMECは、当該地区で採掘された無煙炭石炭製品、あるいはそれと同等の無煙炭石炭製品をその時の実勢市場価格により、毎年一定量購入する権利(生産物引取権)を有する。JOGMECが生産物引取権を獲得した場合、この権利を日本企業へ譲渡することを目指す。
2)炭鉱開発動向調査
クアンニン炭田地域内においてVINACOMINが操業する炭鉱あるいは保有する鉱区について現地調査を行い、炭質、資源量、生産量、探査開発計画等を把握する。結果については、次年度の共同探鉱調査計画の検討に活用するほか、日本企業へ情報提供等を行う。
(注)ベトナム石炭鉱物産業ホールディングス株式会社(VINACOMIN)
ベトナム国内の石炭生産をほぼ独占的に扱う政府出資会社(政府出資65%)で、国内と海外向けに発電用および産業用の無煙炭と褐炭を供給。ベトナム最大の無煙炭生産地であるクアンニン炭田を中心に数多くの炭鉱を操業しており、2016年の石炭生産量は約3,500万トン。
クアンニン炭田地域の位置
この記事に関するお問い合わせ先
石炭開発部 山本・近藤
総務部広報課 乾