2026-09-28 産業技術総合研究所

(左)都市域の地質地盤図「埼玉県南東部」の位置図、(右)微動データに基づく軟弱地盤(赤部)の分布
※長ら(2025)の図を引用・改変したものを使用しています。
<関連情報>
- https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2026/pr20260928_2/pr20260928_2.html
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaee/25/12/25_12_121/_article/-char/ja/
微動H/Vスペクトルのピーク周波数マップ:埼玉県南東部における3次元地質地盤図との比較事例
長 郁夫, 先名 重樹, 野々垣 進
日本地震工学会論文集 J-STAGE公開日: 2025/11/28
DOI:https://doi.org/10.5610/jaee.25.12_121
抄録
埼玉県南東部(辺長約35 kmの矩形に含まれる領域)で得られている常時微動のグリッド観測データ(平均約1 km間隔.853地点分)を用いて微動のHorizontal-to-Vertical(H/V)スペクトルを同定した.得られたスペクトルから0.5–20 Hzの範囲でピーク周波数を読み取り,その空間分布(ピーク周波数マップ)を得た.その際,読み取りの検討範囲に複数の局所的なピークが認められる場合はピークと対になるトラフとの振幅差を評価し,その情報を加味したピーク選択の閾値と重み付け基準により単一のピークを選択した.こうして得られたピーク周波数マップを多数のボーリングデータ(~7338本)を用いて構築済みの3次元地質構造モデル(都市域の地質地盤図)と比較した.その結果,荒川低地や中川低地で沖積層の厚い(>20 m)領域ではピーク周波数が平均1.3 Hzであるのに対し,沖積層の非分布域では平均4.7 Hzと高い値となる等,地形・地質の分布と調和的な結果が得られた.H/Vスペクトルのピーク周波数は,地形や3次元地質地盤構造から得られる地盤の良否の判断や地震ハザードに関する定性的な予想を定量化する指標と考えることができる.ここで得られたピーク周波数マップは拡大縮小や地質分布との詳細な比較ができるように都市域の地質地盤図のホームページで公開する予定である.今後は地質地盤図で公開されている他の地域においても同様にピーク周波数マップを作成してそれぞれ公開したいと考えている.

