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大井川鐵道 大井川本線 家山駅構内で発生した重大インシデント[車両障害](令和5年11月28日発生)

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2025-12-18 運輸安全委員会

大井川鐵道 大井川本線 家山駅構内で発生した重大インシデント[車両障害](令和5年11月28日発生)

<関連情報>

概要
大井川鐵道株式会社の大井川本線家山駅発金谷駅行き4両編成(機関車1両と客車3両)の上り第52列車は、令和5年11月28日(火)、家山駅を定刻(14時45分)に出発し、同駅構内を走行中、非常ブレーキが作用して停止した。停止後に運転士が降車して同列車を確認したところ、1両目の機関車と2両目の客車が分離していた。
列車には、乗客81名、乗務員4名(運転士1名、運転助士1名、車掌2名)及び車内販売員1名が乗車していたが、負傷者はいなかった。

原因
本重大インシデントは、機関車と連結した2両目の客車の連結器の部品である下錠揚げの揚り止めが、連結器を構成する器頭内壁のくぼみから外れ、連結器の内部にある錠が正規より高い位置でナックルと接触した状態で上り第52列車が出発したため、走行中に錠がナックルの尾端の勾配に沿って乗り上がり、連結器がナックル開き位置となってナックルが解放されたことにより発生したものと考えられる。
錠が正規より高い位置でナックルと接触した状態で同列車が出発したことについては、入換作業において連結作業を行った担当者が指導された作業手順によらず、錠揚浮上防止装置の鎖錠確認が十分でなかったことが関与したと考えられる。
また、錠が正規より高い位置でナックルと接触した状態になったことについては、大井川鐵道株式会社が増設したてこ止めが解放てこの動作に支障したため、自重で垂下の途中にあった錠を下錠揚げが下から支える状態にあったことによると考えられる。
走行中に錠がナックルの尾端の勾配に沿って乗り上がったことについては、同列車が13号分岐器及び11号分岐器を通過した際に、連結器が上下及び左右に振動して連結器引張力に変動が生じ、錠に上向きの力が作用したことによる可能性が考えられる。
また、増設したてこ止めが解放てこの動作に支障する状態であったことについては、連結器の検査及び修繕を行う係員が、連結器の構造及び作用について、作業を行うのに必要な知識及び技能を十分に保有しておらず、定期検査において連結器の作用の不具合に気付くことができなかったことが関与したと考えられる。
入換作業において連結作業を行った担当者が指導された作業手順によらず、錠揚浮上防止装置の鎖錠確認が十分でなかったことについては、駅長等が入換作業の監視を行うことになっていたにもかかわらず、同社が監視する要員を確保できなかったことから、入換作業を行う係員の作業実態を把握できていなかったことが関与したと考えられる。

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