2024-09-25 東日本旅客鉄道株式会社高崎支社
〇 JR 東日本高崎支社では、2023 年9月より無人航空機(以下「ドローン」)を活用したメンテナンス業務を通じ、鉄道の安全性向上、業務効率化と働き方改革に取り組んでいます。
○ 鉄道構造物に対する新しい視点での点検手法を取り入れることで、点検精度の向上が期待でき、鉄道をご利用されるお客さまや沿線にお住いのみなさまにさらなる安全・安心を提供します。
○ ドローンを活用することで、従来の高所や斜面に登っての点検や夜間作業の一部削減を進め、鉄道の安全性向上、作業者の負担軽減に努めています。
1.概要
鉄道の安全で安定した輸送には、鉄道構造物の健全性を確認するため、点検者の目視が基本となっており、ドローンで撮影された画像を活用することで、新しい仕事の仕組みである「スマートメンテナンス」を実現し、安全性、品質、生産性の向上を図ると同時に社員の働き方改革を推進しています。
2.従来の点検からドローンを活用した点検を行うイメージ
従来の点検方法から、必要な要員を 1 人削減することが可能となります。ドローンで撮影した画像は複数人の視点から確認できるため、点検精度のブラッシュアップにも繋がります。
3.ドローン導入に伴うメンテナンス業務の有効性
これまでの実証実験や実際の作業を通じ、高所での作業や夜間に行っていた作業にドローンを活用することがメンテナンス業務の効率化・省力化に有効であることがわかりました。
(1) 高所作業の削減
こ線橋や橋りょう上部の点検など高所での作業は、ドローンを使用することで作業者等の「墜落リスク」を軽減しています。
(2) 沿線斜面の調査作業の軽減
落石や斜面調査を行う際に、事前にドローンで広域的に点検することで、作業者の「身体的負担」を軽減しています。
(3) 視認性の向上と夜間作業の削減
これまで新幹線高架橋の防音壁などは終電から始電までの限られた時間で点検する必要がありましたが、ドローンにより昼間でも点検が可能となり、明瞭な画像に基づく「精度の高いメンテナンス業務の実現」と「夜間作業の削減」に繋がっています。
線路直上を避けた飛行ルートにすることで、昼間の点検が可能に
※ドローンの飛行については、「無人航空機の安全な飛行のためのガイドライン(国土交通省)」に則り、沿線にお住いのみなさまや作業者の安全を第一に取り組んでいます。
4.その他の活用事例
5.今後の予定
ドローンを活用したメンテナンス業務の有効性について、今後も継続して検証を実施していきます。ドローンによる目視だけでなく、点群データを活用した周辺環境の3Dモデル化、沿線樹木の位置・生育状況の把握や変状箇所への補修材塗布など簡易修繕について、2025 年度中に検証の実施・導入を検討していきます。
労働人口減少社会において、お客さま・社員等の安全を確保しながら「スマートメンテナンス」の実現を通じて課題解決に取り組みます。