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近江鉄道 本線 彦根口駅構内(単線)で発生した列車脱線事故(令和3年12月27日発生)

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2025-10-26 運輸安全委員会

概要

報告書番号:RA2023-8-1
発生年月日:2021年12月27日
区分:鉄道
発生場所:本線 彦根口駅構内(単線)[滋賀県彦根市]岡道踏切道(米原駅起点7k918m)
事業者区分:中小民鉄
事業者:近江鉄道株式会社(法人番号 1160001008109)
事故等種類:列車脱線事故
都道府県:滋賀県
概要:
近江鉄道株式会社の本線は、大雪の影響により、令和3年12月26日20時23分ごろから彦根駅~八日市駅間で運転を見合わせていたが、翌日27日午前に雪がやんだことから、彦根駅発八日市駅行き下り試第91列車(2両編成)は、運転を再開する前の試運転列車として、13時26分ごろに彦根駅を出発した。
13時46分ごろ、列車が約10km/hの速度で岡道踏切道を走行したとき、列車の運転士は異音を感知したため、非常ブレーキを使用して列車を停止させた。
列車停止後、係員が降車して確認したところ、先頭車両の前台車第1軸が左側に脱線していた。
列車には、運転士1名、高宮駅以南の分岐器の除雪を行う係員4名並びに八日市駅等で勤務を行う運転士3名及び駅係員2名が乗車していたが、負傷者はいなかった。
原因:
本事故は、先頭車両前台車の輪重が減少し、同台車が左に旋回した状態で列車が走行し、同台車第1軸が踏切道のレール上及びフランジウェイに存在した圧雪に乗り上がり、脱線したことにより発生した可能性が考えられる。
先頭車両前台車の輪重が減少したことについては、軌道上に多量の積雪がある状態で列車が雪を押しのけながら走行した際に、スカートの下部及び上部から入り込んだ雪のかさが増すことで先頭車両の前台車に上方向の負荷がかかったことによる可能性が考えられる。
先頭車両前台車が左に旋回したことについては、先頭車両及び前台車の前面にたまった雪により車体及び前台車の前部が押されたことによる可能性が考えられる。
軌道上に多量の積雪が存在したことについては、低い気温と多量の降雪がある状況において、前日に同踏切道を走行した最終列車走行時に軌道上にあった積雪に加えて、列車が走行するまでの間に降った雪の多くが溶けずに残っていたことによる可能性が考えられる。
同踏切道に圧雪が存在したことについては、低い気温と多量の降雪がある状況において、前日に同踏切道を走行した最終列車から列車が走行するまでの間に同踏切道を通過した自動車によって雪が踏み固め続けられたことによる可能性が考えられる。また、列車通過までに軌道上及び同踏切道の除雪が行われなかったため、軌道上の積雪、同踏切道のレール上及びフランジウェイに圧雪が残った可能性が考えられる。
除雪を行わずにスノープラウ付き車両を使用しない列車を運行したことについては、軌道上の積雪及び同踏切道の圧雪状況が運行実績のある平成29年1月24日と本事故発生時とでは異なっていたと推定されるにもかかわらず、安全統括管理者が軌道上の積雪及び同踏切道の圧雪状況が本事故発生時と同様であると考え、列車が問題なく走行できた過去の実績を基に除雪の要否及び運行可否を最終的に判断したためと考えられる。さらに、積雪状況及び圧雪状況等から除雪の要否、スノープラウ付き車両の使用及び運行可否の判断ができる客観的基準・条件が社内規程等に示されていなかったこと、同社が踏切道の圧雪状況の確認を実施していないことから、除雪の要否及び運行可否の判断をするための情報収集が十分ではなかったことが関与した可能性が考えられる。
死傷者数:なし
公表年月日:2023年10月26日
報告書(PDF):公表説明資料

 

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