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橋梁内部の可視化により予防保全へ ~理研小型中性子源システムを活用した非破壊検査技術の開発に着手~

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2024-04-25中日本高速道路株式会社,理化学研究所

NEXCO中日本と、理化学研究所(以下、理研)は、斜張橋のケーブル定着部内部など目視による点検が困難な箇所について、腐食など変状の要因となる水の浸入などを可視化するため、「理研小型中性子源システム」(以下、「RANS」)を活用した非破壊検査技術の開発着手についてお知らせします。
今後は、高速道路のケーブル定着部の変状要因となる滞水を非破壊で計測する中性子線による新たな計測方法と、さらなる小型化・可搬化による現場利用可能なRANS‐Ⅲの開発に取り組みます。
NEXCO中日本と理研は、課題であったケーブル腐食などの変状を早期に発見し、予防保全につなげることで、斜張橋の維持管理の信頼性や効率性を改善、さらなる構造物の安全性向上に取り組んでいきます。

開発の背景と目的

斜張橋は主塔から斜めに張られた複数のケーブルで吊り支える橋梁形式で、ケーブル定着部には防水用カバーや保護管が設置されています。しかし、継ぎ目や隙間などからの水分浸入は完全に防ぐことはできず、滞水しやすい箇所であり、腐食などの変状の進行が懸念されます。
一方、カバーや保護管があるため、目視による滞水状況の確認や現行の非破壊検査での点検が難しく、ケーブルの変状有無については、ケーブル振動を計測して確認しています。
そこで、透過力が高く、水素に高い感度を示す中性子を利用し、定着部の滞水を検出、可視化する技術の開発に着手しました。本技術で、ケーブルが腐食する前に予防保全の措置が可能となり、安全性の向上に期待できると考えています。

橋梁内部の可視化により予防保全へ ~理研小型中性子源システムを活用した非破壊検査技術の開発に着手~
図1 斜張橋のケーブル定着部

技術開発(滞水の検出)状況

RANSは、理研が開発し、現在整備・高度化をおこなっている陽子加速器を用いた小型中性子源システム群で、老朽化による劣化が問題となっている橋梁などの変状箇所を非破壊検査できる技術です。

図2 室内試験状況(RANS‐Ⅱ)
図2 室内試験状況(RANS‐Ⅱ)

中性子線でケーブル定着部の滞水を可視化することを想定し、RANS‐Ⅱを用いて正常なケーブルと、内部に滞水を模した欠陥を挿入したケーブルの2つの試験体の端部に中性子を照射し、ケーブル外側から内部水分を計測する室内実証試験をおこないました。
図3のような正常な試験体と滞水を模した欠陥の入った試験体に中性子を照射し、比較することで、図4の赤色部のように滞水状況を2次元的に可視化できる技術を確立しました。図3 中性子を照射した試験体

図3 中性子を照射した試験体

図4 試験体の水分検出結果
図4 試験体の水分検出結果

実用化に向けて

高速道路の斜張橋での実用化(計測)を目指し、ケーブル定着部の滞水状況の中性子計測手法や、水分などの可視化技術の高度化開発をおこなう予定です。また、小型中性子源システム自体の運搬・移動ができ、実際の橋梁の点検ができる可搬型小型中性子源システムRANS-Ⅲの実用化開発に取り組みます(図5)。

図5 可搬型小型中性子源システム(RANS-Ⅲ)の概念図
図5 可搬型小型中性子源システム(RANS-Ⅲ)の概念図

お問い合わせ先
・NEXCO中日本お客さまセンター (24時間365日対応)

参考資料:
RANSプロジェクトほか 補足資料

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0902鋼構造及びコンクリート
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