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グリーンイノベーション基金事業で日立造船、鹿島建設が洋上風力発電、浮体式基礎の量産化技術を開発~水上接合工法による工期短縮の可能性を確認~

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2024-08-05 新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDOのグリーンイノベーション基金事業「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトで、「浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業」(以下、本事業)に参画する日立造船株式会社、鹿島建設株式会社は、今般、セミサブ型浮体式基礎の量産化技術を開発し、水上接合による基礎製造工法(以下、本工法)の実証を行いました。

両社は、本事業を通じて開発した本工法が技術的に実現可能であり、浮体式基礎の製造工程が1割以上短縮可能であることを確認しました。

本成果の活用により、今後導入拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電において浮体式基礎の量産化、低コスト化実現の一助となることが期待されます。

グリーンイノベーション基金事業で日立造船、鹿島建設が洋上風力発電、浮体式基礎の量産化技術を開発~水上接合工法による工期短縮の可能性を確認~
図1 セミサブ型浮体式基礎の量産化コンセプト(既存ドック活用の例)

1.背景

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーを最大限導入することが求められていますが、中でも洋上風力発電は、大量導入やコスト低減が可能であり、経済波及効果も期待されることから、再生可能エネルギーの主力電源化実現の切り札とされています。水深の小さな海域では、欧州で技術が確立した着床式洋上風力発電の導入が進んでいますが、急深な地形が広がる日本・アジアにおいては、低風速・台風・落雷などの気象条件や海象(かいしょう)などを踏まえて浮体式洋上風力発電の設備設計を最適化するニーズが高まっています。欧州においても浮体式は未確立であるものの開発が進められており、浮体式基礎製造などに関して造船業を含む新たなプレーヤーの参入も期待されています。

このような背景の下、NEDOは2021年度からグリーンイノベーション基金事業※1「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトで本事業に取り組んでいます。その一環として、日立造船と鹿島建設は、「セミサブ型ハイブリッド浮体の量産化・低コスト化※2」と題し、今後建設が見込まれる浮体式洋上風力発電向けの技術として、浮体式基礎の最適化および量産化、繊維ロープ・チェーン複合係留システムの開発など、浮体式基礎の製造・設置の低コスト化に向けた技術開発に取り組んできました。

2.今回の成果
(1)浮体式基礎の量産化技術の開発

本事業で検討している量産化コンセプトは、15MW級の風車を搭載する大型の浮体式基礎が収まるような大型のドックが国内に少数しかなく、浮体の大量生産のボトルネックになり得ることに着目し、ドックでの作業期間を最小化して、浮体式基礎の量産化につなげるというものです。

そこで、浮体式基礎の分割ブロック(以下、ブロック)を造船・鉄構メーカーなどのサプライチェーン先で製造し、既存ドックなどへえい航輸送後、ブロックを接合して浮体式基礎を完成させるという量産化技術を開発しました。

この量産化技術の実現により、最小の設備投資でサプライチェーンを強化するとともに、より多くの浮体式基礎を製造することが可能となります。

浮体式基礎工程イメージ画像
図2 浮体式基礎の分割製造からドックで浮体式基礎を完成させるまでのイメージ

(2)本工法の実証

今回、ブロックを接合して浮体式基礎を完成させる大組立の方法として、造船ドックなどに水を張った状態でブロックを搬入、排水前に水上でブロック同士の位置合わせを実施し、排水後、溶接する本工法を開発しました。当初はブロック入渠(にゅうきょ)後に排水して、大型台車やクレーンを用いて接合のための位置調整を行うことを検討していましたが、この位置調整にはミリ単位の精度が求められるため、その重量や大きさから多くの時間を要することが課題でした。本工法では、浮力を活用し重量による問題を軽減し、大組立工程の1割以上の短縮を実現できます。

今回、本工法の妥当性を確認するため、15MW級の風車を搭載することを想定した浮体式基礎のブロックの接合部を実寸サイズで製造し、2024年1月末から2月末に日立造船の堺工場でブロック接合試験を実施しました。試験の結果、本工法が技術的に実現可能であることを確認3しました。

ブロック接合試験の写真
図3 ブロック接合試験の様子

3.今後の予定

本成果の活用により、今後導入拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電プロジェクトにおいて浮体式基礎の量産化、低コスト化実現の一助となることが期待されます。

2040年までに洋上風力発電を30~45GW導入するという政府目標の達成に向けて、NEDOは、風車、浮体、係留システム、ケーブルの挙動・性能・施工性・コストを考慮した一体設計により、浮体式洋上風力発電の信頼性の向上と低コスト化を目指し、システム全体として関連技術を統合した実証を行います。これにより、2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、電力分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献します。

【注釈】
※1 グリーンイノベーション基金事業
日本の掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けて、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などに対して研究開発・実証から社会実装まで最長10年間継続して支援する事業です。本基金事業はグリーン成長戦略で実行計画を策定している重点分野や、GX実現に向けた基本方針に基づき今後の道行きが示されている主要分野を支援対象としています。

※2 セミサブ型ハイブリッド浮体の量産化・低コスト化
  • 事業名:グリーンイノベーション基金事業/洋上風力発電の低コスト化/浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業/セミサブ型ハイブリッド浮体の量産化・低コスト化
  • 事業期間:2021年度~2023年度
  • 事業概要:洋上風力発電の低コスト化
※3 本工法が技術的に実現可能であることを確認
(参考)日立造船リリース(2024年8月5日)「NEDOグリーンイノベーション基金事業の成果、浮体式洋上風力発電のセミサブ型基礎製造における量産化コンセプトおよび水上接合工法を開発
4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 再生可能エネルギー部 風力・海洋ユニット

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 経営企画部 広報企画・報道課

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