国総研レポート2020(研究期間 : 令和元年度~)
国土技術政策総合研究所 社会資本マネジメント研究センター 建設経済研究室
主任研究官 原野 崇
研究官 齋藤 貴賢
室長(博士(工学)) 小俣 元美
(キーワード) 冬期道路管理,除雪,住民参加
1.はじめに
近年、非常に強い降雪が集中的かつ継続的に発生するなど雪の降り方が変化する一方、人口減少や少子高齢化、除雪作業の担い手・後継者不足など、除雪を取り巻く環境は一層厳しさを増している。こうした昨今の情勢を受け国総研では、地域や民間団体が道路除雪へ積極的に協力できる仕組みの構築を目指し、冬期道路対策への住民参加を促進する方策の検討を行っている。
本稿では、豪雪地域における地域住民等の道路除雪活動やその支援策等に関する事例調査について報告する。
2.概要調査
地域住民やボランティア団体等が行う冬期道路管理について、既往の調査結果である「冬期道路管理における自助共助の取組み事例」(国土交通省道路局)や「雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援調査」(国土交通省国土政策局)等から17道府県44市町村で実施されている除雪活動や支援制度など延べ55件(表-1)の事例を収集・整理した。主な活動主体である自治会・町内会に小型除雪機械や除雪道具を行政から貸与することで住民の除雪活動を支援する事例が多く見られた。
3.ヒアリング調査
前章の調査事例から地域特性や活動内容を考慮し6地域を抽出し、除雪等活動の関係者からのヒアリング調査を行った(表-2)。いずれも住民等による除雪活動が成功している事例であるが、活動の担い手の高齢化や後継者不足など活動継続上の課題を抱えていた。また地域事情が多様で、同一市内でも雪の降り方や除雪事情が異なる、市町村合併前の旧制度が混在しているなど、地域に即した対応が必要である。今後はこれらの課題解消および活動への支援・促進方策について検討を進めていく。
表-1 住民等による除雪活動(概要調査)
※( )内は事例数。延べ件数・重複計上あり。
表-2 住民等による除雪活動(ヒアリング調査)