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点検技術者の腕の疲労軽減を目的とした補助器具 「点検楽っく」の開発

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2019-05-29 中日本高速道路株式会社,中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社

NEXCO中日本のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社は株式会社ニッカリと共同で、コンクリート構造物の打音による点検時に点検技術者の腕の疲労を軽減することを目的とした補助器具「点検楽(てんけんら)っく」(写真-1,2)を開発しました。

写真-1 点検楽っく 写真-2 「点検楽っく」の使用状況

開発の背景と目的

コンクリート構造物の点検では、コンクリートのはく離などが発生しお客さまに影響をおよぼす恐れのある範囲を対象として、打音※1による点検を実施しています(写真-3)。打音による点検では、点検技術者が重さ230g程度の点検ハンマー(写真-4)を用いて腕を高い位置に保った状態で上を向いて作業を続けることが多く、その作業は1日6時間におよぶこともあります。このため、点検技術者の腕には疲労が蓄積し、5分間に1回程度は腕を休める必要があり、作業効率が上がらないのが現状です。

この課題を解決するため、打音による腕の疲労を軽減できる補助器具の開発が望まれていました。

※1 打音…所定のハンマーにより対象構造物を打撃して音を聞くことにより、構造物の状況(はく離(浮き)、ボルトの緩みなど)を把握する点検方法

写真-3 打音による点検状況 (左:トンネル内、右:ボックスカルバート内)写真-4 点検ハンマー

本製品の概要

本製品「点検楽っく」は、打音作業時の腕の重さを「アームサポート」「高さ保持アーム」「補助アーム」を通じて腰ベルトで支える構造となっています(写真-5)。

打音による点検では、様々な形状のコンクリート構造物に対する打音作業に対応するため、腕を支える高さを容易に変更できる必要があります。本製品は、「アームサポート」の高さ調節が可能なため、点検技術者の動作に従って常に最適な腕の高さにすることができます(図-1)。

また、打音作業だけでなく、構造物の変状を発見した時には、チョークによる構造物へのマーキング、写真撮影、メモ帳への記録が必要となります。本製品は、「高さ保持アーム」を外側へずらすことで容易にサポート機能を解除することができるため、このような記録作業も容易におこなうことができます(図-2,3)。

図-1 高さ調節機能
図-1 高さ調節機能

図-2 サポート機能
図-2 サポート機能

図-3 打音作業から記録作業までの流れ

図-3 打音作業から記録作業までの流れ

開発の効果

エンジ名古屋に所属する点検技術者が試行的に使用したところ、「腕の拘束が少なく、普段の点検動作を大きく変更することなく腕を支えてくれることから、疲労軽減につながった。」など、7割の点検技術者から高評価を得ることができました。特に、連続した上向きの打音作業が必要なトンネル内点検では、腕を休めることなく連続で打音作業を実施することが可能となり、作業効率が上がることが期待できます。

今後の展開

今後、エンジ名古屋が実施する点検業務の中で、本製品を本格的に活用していく予定です。併せて、他社でも活用できるよう、販売体制を整えていきます。

お問い合わせ先

・NEXCO中日本お客さまセンター
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