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橋梁点検に用いる無人航空機の性能評価基準策定に向けた飛行試験を実施~試験方法や試験環境の妥当性を検証~

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2018-01-11 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 福島県

NEDOは、富士通(株)、日本電気(株)、(株)イクシスリサーチ、(株)エンルート、(株)プロドローンとともに、橋梁点検のための無人航空機の性能評価基準策定に向けた飛行試験を千葉県東金市で実施しました。
本試験では、模擬橋梁実験施設において無人航空機を飛行させ、再現した橋梁の点検プロセスに沿った性能評価の試験方法やそこで必要となる計測システムの妥当性を検証するとともに、風などの外乱を考慮した飛行安定性の性能評価を行うための試験環境の妥当性を検証しました。
NEDOは、本試験で取得できたデータとともに今後の取り組みを通じて、橋梁点検に使用する無人航空機の性能評価基準の策定に貢献します。実証実験の全体像を表した図1

図1 実証実験の全体像

1.概要

現在、橋梁などの社会インフラの老朽化が急速に進むことが懸念され、これらを維持管理する費用は年々増加傾向にあり、少子高齢化による人材不足も年々深刻化しています。また、これらの課題解決に向けたインフラ点検支援ロボットの技術開発が国内でも活発に実施されているものの、インフラ点検ロボットの性能を測るモノサシが明らかになっておらず、技術開発の促進および普及のためにはロボットやドローンの性能を測るモノサシを規定し、性能を測る試験方法を含めた性能評価基準などの策定が喫緊の課題となっています。
このような背景のもと、NEDOは「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト※1」において、橋梁点検に使用する無人航空機の性能を実現場に導入する前に評価できるようにするために、性能項目や性能評価のための試験方法、および試験に使用する計測システムなどをまとめた日本初の性能評価基準の開発に取り組んでいます。
今般、NEDOは、富士通株式会社、日本電気株式会社、株式会社イクシスリサーチ、株式会社エンルート、株式会社プロドローンとともに、千葉県東金市の模擬橋梁実験施設を用いて、橋梁点検のための無人航空機の性能評価基準策定に向けた試験方法を検証するための飛行試験を実施しました。
本試験は昨年10月16日から順次実施しており、(株)エンルートが千葉県東金市に開設したドローンフィールド東金の中に設置した模擬橋梁実験施設を用いました。模擬施設により無人航空機による近接画像撮影や打音検査などの橋梁点検プロセスを再現し、実際に無人航空機を飛行させ、無人航空機による橋梁点検プロセスに沿った性能評価の試験方法やそこで必要となる計測システムの妥当性を検証しました。加えて、特設した送風設備を用いて、無人航空機の飛行安定性の性能評価に必要となる橋梁の支承部※2付近の風などの外乱を考慮した試験環境の妥当性の検証も行いました。
本試験において、橋梁点検における無人航空機の活用に向けた性能評価基準策定に必要となる各種データを取得することができました。NEDOは、今後も性能評価基準の策定に貢献すべく準備を進めていくとともに、2030年に7,000億円と期待されている社会インフラの維持管理・更新のための無人航空機を含むロボット関連市場の創出にも寄与します。また、昨年11月22日にNEDOと福島県が締結した「福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定」の取り組みの一環として、性能評価基準に基づく試験が「福島ロボットテストフィールド※3」の試験用橋梁で実施できるよう、本試験から得られた知見を福島県へ提供していきます。

福島ロボットテストフィールド 試験用橋梁 完成予想図を表した図2

図2 福島ロボットテストフィールド 試験用橋梁 完成予想図

2.飛行試験の内容

(1) 無人航空機による橋梁点検プロセスに沿った性能評価の試験方法の検証に関する飛行試験
無人航空機による高橋脚上部や床版の近接画像撮影、高橋脚の打音検査などのための橋梁点検プロセスやそこで必要となる計測システムの妥当性を検証するために、無人航空機を飛行させ、準備から点検作業終了までの所要時間と点検時の環境条件(天候・風向・風速・照度など)のデータを取得するとともに、画像や打検器接触位置・姿勢などのデータを取得しました。
(2) 橋梁支承部における風などの外乱を想定した性能評価の試験環境の検証に関する飛行試験
特設した送風設備を用いて、橋梁支承部およびその近傍における安全な運用を阻害する風などの外乱を考慮し、その環境下で無人航空機を飛行させ、無人航空機の姿勢制御性能を定量化するなど、飛行安定性の性能評価に必要となる試験環境の妥当性の検証を行いました。

飛行試験の全体イメージ(床版の近接画像撮影)を表した図3

図3 飛行試験の全体イメージ(床版の近接画像撮影)

風などの外乱を想定した試験環境の妥当性の検証に関する飛行試験を表した図4

図4 風などの外乱を想定した試験環境の妥当性の検証に関する飛行試験

【用語解説】

※1 ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト
プロジェクト期間は2017年度~2021年度の5年間で、2017年度予算は33億円。

「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」に係る公募について

※2 支承部
橋梁の上部構造と下部構造の接点に位置し、上部構造からのさまざまな荷重を支持し、下部構造へ伝達する重要な部位であり、橋梁全体が本来の機能を確実に発揮するために重要な役割を担っている。
※3 福島ロボットテストフィールド
物流、インフラ点検、大規模災害などに活用が期待される無人航空機、災害対応ロボット、水中探査ロボットといった陸・海・空のフィールドロボットを主対象に、実際の使用環境を拠点内で再現しながら、研究開発、実証試験、性能評価、操縦訓練を行うことができる研究開発拠点。福島県南相馬市および浪江町で2018年度から順次開所予定。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・AI部 担当:宮本、山中、永松

(福島ロボットテストフィールドについての問い合わせ先)

福島県商工労働部ロボット産業推進室 担当:北島

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本

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