2026-03-17 建築研究所
<関連情報>
JIS改正後のセメントを使用したコンクリートの性能に関する研究
中田清史、鹿毛忠継、石田征男、小畠明、黒岩義仁、本田和也、廣川誠一、谷村充、吉田雅彦、吉本徹、島崎泰、伊藤孝文
建築研究報告 No.156(2026(令和8年)3月)

<概 要>
セメント産業のカーボンニュートラルの実現に寄与すべく、普通ポルトランドセメントに混合する少量混合成分の分量を増量する取組みが進められている。JIS R 5210〔ポルトランドセメント〕では、普通ポルトランドセメントの少量混合成分の分量上限値を 5%以下から 10%以下に変更することを主目的とした改正作業が行われてきた。2026 年 2 月現在、JIS R 5210〔ポルトランドセメント〕をはじめ、普通ポルトランドセメントを基材とする混合セメント(JIS R5211〔高炉セメント〕、JIS R 5212〔シリカセメント〕、JIS R 5213〔フライアッシュセメント〕)の改正案が日本産業標準調査会第 25 回土木技術専門委員会で了承され、これらの JIS は 2025 年度中の官報公示が見込まれている。
本報告は、少量混合成分の分量上限値の変更が、建築基準法第 37 条第二号に該当するコンクリート(以下、大臣認定コンクリート)の性能に与える影響を評価することを目的とした。また、本検討を実施するにあたり、「JIS 改正後のセメントを使用した大臣認定コンクリートの性能に関する有識者懇談会」(座長:野口貴文 東京大学大学院 教授,事務局:セメント協会)を設立し、ここで策定・承認された検証実験計画に基づき試験を実施した。少量混合成分の合量を質量で 0%以上 10%以下としたセメント(改正 JIS セメント)を使用した大臣認定コンクリートの性能評価試験として、既に認定を受けている大臣認定コンクリートを網羅した条件で、「コンクリートのフレッシュ性状・強度特性検証試験」、「高温環境下のコンクリートのフレッシュ性状確認試験」、および「高温度履歴下のモルタル・セメントペースト試験」を実施し、現行 JIS セメントを使用した場合と改正 JIS セメントを使用した場合との同等性を評価した。得られた結果を以下に示す。
(1) 様々な調合条件のコンクリートにおいても、フレッシュ性状に大きな差がないことが確認された。また、調合条件、養生条件、および材齢期間の違いによらず、コンクリートの強度は同等性を有していることが確認された。また圧縮強度結果から算出される強度式も同等性が有していることが確認された。また、構造体強度補正値も同程度の値であることが確認された。
(2) 35℃を上回る高温環境下でのコンクリートのフレッシュ性状、凝結時間に大きな差がないことが確認された。
(3) 高温度履歴を受けたモルタルのフレッシュ性状、圧縮強さ、細孔構造、セメントペーストのクリンカ反応量と水酸化カルシウムをはじめとする水和物の生成に大きな差がないことが確認された。
これらの結果から、改正 JIS セメントおよびそれを基材とするセメント(混合セメントを含む)を使用した大臣認定コンクリートは、現行 JIS セメントおよびそれを基材とするセメント(混合セメントを含む)を使用した大臣認定コンクリートの性能と同等であると判断できる。

