2025-02-04 国土技術政策総合研究所
国総研資料 第 1301 号
【概 要】
本研究では,港湾地域強震観測網で得られる各港湾での地震波形(地表面)から計算され る速度PSI値により,当該港湾での係留施設の被害有無を概略判定する方法を提案した. 「被害有り」の定義は観測点の位置する港湾内で一箇所でも被害がある場合とし,1962年 ~2024年1月1日(令和6年能登半島地震)までの観測データによる速度PSI値と当該港湾で の被害の有無をデータ化し,概略判定手法を検討した.
概略判定手法として,1)速度PSI値を段階的に区分し,区分毎に想定される係留施設の被害 有無や被害程度の説明を付した現場技術者向けの判定表と,2)速度PSI値を指標とした,港 湾単位での係留施設の被害有無の可能性を表現する地震フラジリティ曲線である.本手法 を,能登半島地震における港湾の被害有無の判定に適用した結果,一定の適用性が確認さ れた.
【担当研究室】
港湾施設研究室
【執 筆 者】
宮田正史・菅原法城(*港湾空港技術研究所)・野津 厚*・長坂陽介*・小濱英司*・大矢陽介*・福永勇介*・竹信正寛・秋山吉寛
研究資料全文
全 文4,127KB
目 次
1. はじめに
2. データ整理方法
2.1 速度PSI値
2.2 データ整理方法の概要
2.3 港湾単位での被害有無及び被害程度の整理方法
3. 速度PSI値に基づく港湾単位での係留施設の被害有無の推定手法
3.1 データ整理の結果概要
3.2 港湾単位での被害有無の簡易推定手法
3.3 港湾単位での被害発生確率を評価する地震フラジリティ曲線
3.4 令和6年能登半島地震での事例検証
4. おわりに
謝 辞
参考文献
付録A 速度PSI値に関する補足説明
付録B 「対象データの抽出方法」と「速度PSI値の算出で利用する速度波形の計算方法」
付録C 解析対象の全データ(一覧表)
付録D ハミルトニアン・モンテカルロ法の概要とパラメータのサンプリング結果
付録E 最尤法およびランダムウォークメトロポリス・ヘイスティングス法(モンテカルロ法)による
パラメータ推定の計算方法・計算結果
付録F ROC曲線およびAUCによる地震フラジリティ曲線(FC)の性能評価,およびカットオフ値の設定による
予測の正確さの向上に関する基礎的情報と計算方法