土木学会論文集C(地圏工学)Vol.74,No.4,pp.439-458,2018.
浅野 翔也 公益財団法人鉄道総合技術研究所
成田 浩明 公益財団法人鉄道総合技術研究所
中島 進 公益財団法人鉄道総合技術研究所
篠田 昌弘 防衛大学校 システム工学群建設環境工学科
中村 晋 日本大学 工学部土木工学科
抄録
グラウンドアンカーで補強された斜面の遠心模型実験の結果から,アンカー補強斜面の地震時残留変位量評価法を提案した.遠心模型実験結果の分析からアンカー補強斜面の地震時挙動は,アンカー抵抗力の段階的な発現や喪失の影響を強く受けることが分かったが,これらは極限釣合いでは考慮できない.そこで,FEMで評価したアンカー抵抗力の変化をNewmark法で考慮する残留変位量の評価法を提案した.模型実験の検証解析の結果,提案手法による計算値は通常のNewmark法では評価できないアンカーの抵抗特性を反映し,実測値と比較的良好に整合することを確認した.また,実大規模のモデル斜面に対して,提案手法を用いて計算を行った結果,変状を許容できない従来の極限釣合いに基づく手法と比較してアンカー補強量を低減できる可能性があることを示した.