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バングラデシュ:ミャンマーからの避難民キャンプで 最大級の給水支援へ

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2018/04/13 JICA

ミャンマー・ラカイン州から避難してきた60万人が生活するバングラデシュ東部のクトゥパロン避難民キャンプ

 

 

 

2017年8月以降、ミャンマーのラカイン州からバングラデシュに避難してきた人々は約80万人にも達するといわれています。避難民の生活が困窮する中、JICAは避難民と、避難民を受け入れている地域に対し、バングラデシュ政府や国際機関と協力し、支援をしています。
しかし、避難民の約8割が生活する避難民キャンプで、緊急に掘削された浅井戸の水が枯渇しつつあるうえ、大半の浅井戸が大腸菌に汚染されているとの調査結果が報告されました。
そのため、JICAはキャンプ内に深井戸を掘削するなど、給水支援を実施することを決め、このほど現地で着工式を開催しました。

枯渇する約5,000本の浅井戸と大腸菌汚染の拡大

トイレのそばに設置された井戸。衛生状態が懸念される

 

 

 

 

JICAが新たな給水支援に乗り出すのは、バングラデシュ東部のコックスバザール県ウキア郡にあるクトゥパロン避難民キャンプ。このキャンプでは、ミャンマーから避難してきた人の約8割にあたる約60万人が生活しています。避難民が使用する水を確保するため、約5,000本の浅井戸(深さ40メートル程度)が掘削されましたが、水の過剰なくみ上げにより水源が枯渇しつつあります。
また、8割以上の浅井戸が大腸菌に汚染されているとの調査結果が出ており、安全な水の確保がキャンプの大きな課題になっていました。
JICAは過去20年にわたり、バングラデシュで地方給水を担う公衆衛生工学局の能力強化を支援し、井戸掘削機などの機材も提供しています(注1)。
5月から始まる雨期を目前に避難民の水衛生問題が深刻化する中、今回の給水施設の建設は、バングラデシュ政府からの支援要請に応えるものです。特に、過去に日本が同局に供与した400mまで掘ることの出来る深井戸掘削機は、同局以外には国内に数台しかないため、JICAがこの掘削機を活用してキャンプで深井戸を掘削することになりました。
キャンプでは多くの国際機関やNGOが活動しており、バングラデシュ政府を含めた援助団体間の連携が大きな課題となっています。JICAはバングラデシュ防災省に派遣しいる専門家が中心となって各機関と協議し、現場のニーズに基づいた迅速な支援を決定しました(注2)。

深井戸と給水施設を組み合わせ、約4万人に安全な水を

使用される予定の深井戸掘削機。バングラデシュ向けの支援で供与されたもの

 

 

 

JICAが建設を支援する給水施設は、深井戸(深さ400メートル)と、総延長5,190メートルの水道管、計216口の給水口からなり、給水対象者数は約4万人。キャンプ内の給水施設としては、最大級のものとなります。
4月8日に行われた着工式では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国際移住機関(IOM)の担当者などから「深井戸と給水施設を組み合わせ、水質を集中管理しながら避難民に安全な水を供給するという今回のような取り組みを、可能であればキャンプ内の他の区画にも広げていきたい」などの発言がありました。
バングラデシュの公衆衛生工学局からは「非常に多くの避難民への着実な対応はバングラデシュ政府にとっては大きな課題だが、日本からの支援を得て、着手することができた。援助機関同士が協力していくことも重要」との指摘がありました。

避難民を受け入れている地域社会も支援

着工式の様子

 

 

 

 

今回の支援に先立ち、JICAは、避難民キャンプに派遣される看護師を対象に、災害看護の事前研修や感染予防のための機材供与を行いました。また、避難民と地域の住民の双方が利用する県立病院に対し、非感染性疾患(がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患など)の検査のための機材供与も行いました。
さらに、避難民の大量流入によって大きな影響を受けている地方自治体に対し、必要な地域インフラの修復や教育施設関連機材の支援なども準備中です。
JICAは、他の援助機関とも連携し、バングラデシュ政府が避難民や避難民を受け入れている地域の住民に対して行っている取り組みを、さまざまな分野で支援していきます。
(注1)現在は技術協力プロジェクト「公衆衛生工学局総合能力強化プロジェクト」、無償資金協力「地下水調査及び深層帯水層水源開発計画」を実施中。
(注2)深井戸掘削はJICAが無償資金協力で実施し、給水施設はIOMが整備。

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