~昼間だけでなく夜間の自動車による歩行者交通事故削減を目指して~
2017-12-25 経済産業省
昼間及び夜間の自動車運転時に、歩行者を検出し、自動ブレーキによって衝突被害を軽減するシステムに関する日本発の国際規格が発行されました。これにより、歩行者事故死亡者割合の高い夜間条件においても有効な予防安全機能を搭載した自動車が普及し、歩行者交通事故被害の減少につながることが期待されます。
1.背景
交通事故による被害は年々減少していますが、平成29年上期における交通死亡事故の34.4%を交通弱者である歩行者が占め、約7割が夜間で発生しています。
これに対し、近年市販されている自動車には、歩行者を車載カメラやセンサで検出し、警報や緊急自動ブレーキを作動することで被害を軽減する予防安全機能が採用されるようになりました。独立行政法人自動車事故対策機構では、ユーザーが安全な自動車を選択できる環境をつくり、安全な車の普及を図ることを目的に、実車試験に基づく、「車種別予防安全性能評価試験(※現在は昼間条件のみ)」を行い、その試験結果を公表しています。
図1:歩行者検出・被害軽減ブレーキ作動イメージ
2.規格の概要
今回、発行された国際規格(ISO 19237:歩行者検出・被害軽減ブレーキシステム)の主なポイントは以下の通りです。
当該システムの機能要件及び性能試験方法(昼間及び夜間)を規定した性能試験で用いる模擬歩行者の仕様に関する別の国際規格についても並行して開発し、本規格で参照するように規定した本規格は、公益社団法人自動車技術会が、日本が国際議長を務めるISO(国際標準化機構)/TC204(ITS高度道路システム)/WG14(走行制御)に平成25年12月に提案し、性能試験で用いる模擬歩行者の仕様に関する国際規格(ISO 19206-2)についてISO/TC22(自動車)/SC33(ビークルダイナミクス)/WG16(予防安全試験装置)と相互連携して開発を進め、平成29年12月8日に国際規格として発行されました。
図2:歩行者衝突予防試験イメージ
図3:試験用模擬歩行者
3.期待される効果
本規格に基づき昼間条件のみならず歩行者事故死亡者割合の高い夜間条件での機能要件及び試験方法が世界各国の自動車アセスメントに採用されることで、より高い予防安全性能を搭載した自動車が普及し、歩行者交通事故被害が減少して国連SDGs目標の2020年までに世界道路交通事故死傷者半減に貢献することが期待されます。
※今回発行された国際規格は、経済産業省の委託事業であるエネルギー使用合理化国際標準化推進事業委託費(自動走行システムの基礎的要素技術に関する国際標準化・普及基盤構築)の成果の一部によるものです。本規格に加え、部分的自動車線変更システム等についても日本が主導して取り組んでいます。
出所
- 警察庁
- 公益財団法人交通事故総合分析センター
- 独立行政法人自動車事故対策機構 自動車アセスメントJNCAP予防安全性能評価
- 公益社団法人自動車技術会 「ITSの標準化2017」
- 国際連合広報センター(持続可能な開発のための2030アジェンダに関連する統計委員会活動)
産業技術環境局 国際標準課長 藤代
担当者:河村